第三章 嵐は突然に

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[4] うっすらと目を開けると、自分が何処かに寝かされているのが分かる。 見覚えがあるが自分の部屋ではないことは確かで、寝起きの頭にはどこだか瞬時に判断出来ない。 暗闇の中入口のドアの開いたところから、明かりが細く伸びている。意識が覚醒してくると、自分がどこにいるのかようやく理解出来てきた。 「……ここ、は…」 見覚えがあるはずだ。ここはオフィスの入口近くに有る応接室。私が横になっていたのは、来客用ソファーの上だ。 ゆっくりと体を起こすと、パサリと何かが足元に落ちる音がした。 (なんだろう) 拾い上げるとスーツの上着だった。 「これ…」 (もしかして私に掛けてあった?) この上着の持ち主は誰なのか、手に持ったそれをじっと見つめながら、考えようとしていたその時 「目が覚めたのか?」 掛けられた声に振り向くと、ドアの所にその男性(ひと)は立っていた。
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