第三章 嵐は突然に

22/23
17933人が本棚に入れています
本棚に追加
/359ページ
「これ、青水の自宅の地域じゃないのか?」 「え?」 「今ラジオで言っている“停電地域”」 「えっ!」 さっきから同じ情報が何度も告げられていて、すっかりBGM化していたラジオの声に意識を向けた。 ―――停電している地域は以下の通りです。○○市△△区□□町、××町、◎◎町…… 「うちだ……」 顔から血の気の引いていき、真っ青になる。 私が今借りているマンションはオール電化でガスはない。電気が通らないと真っ暗闇はもとより、風呂に入ることも調理をすることも出来ないのだ。 「なんで…どうしたら……」 完全に頭の中が真っ白だ。 「一旦落ち着こう」 隣から低く落ち着いた声が響いた。 これから何をどうすべきなのか全く以って分からずパニックを起こしかけた私を、落ち着かせようと彼は通りかかったコンビニへと車を向けた。
/359ページ

最初のコメントを投稿しよう!