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プロローグ
「…僕がですか?」
『ええ、そうです』
当選おめでとうございます、と電話口の相手が告げる。上手く状況が飲み込めない。僕の動揺が伝わったのか、相手がはははと笑う。
『まぁ、皆さん驚かれますね。とにかく日曜お宅にお伺いするので、詳しい話はその時に。ええ、勿論彼女を連れて。では────』
通話が切れた。僕はガチャリと受話器を置いた。そして溜息をつく。軽い気持ちで応募してみたが、まさか当選するとは…。
32年間生きて来て、自分のクジ運のなさは痛いほど実感している。保育園時代、20枚あった福引券を全てティッシュに変えた。小学校時代の席替えで、2分の1でクラスのマドンナの隣の席になれるクジを外した。中学校時代には───いや、これ以上は止めておこう。僕の心が持たない。
そんな僕が、初めて当たりを当てた。それも「女の子」を、だ。
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