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「ごめん、まこちゃん。テスト前だから、友達と勉強することになっちゃって…」
「ごめんなさい!友達とコンサートに行くことになっちゃって…」
「ごめん…クラスで日帰り旅行があって…」
あたしは、誕生日以来、まこちゃんとのデートをいろんな理由でかれこれ五回キャンセルしてしまった。
そして、邑さんだけじゃなく…Dで知り合った男の子たちと、遊んでいる。
佐和の言う通り、楽しい毎日。
で、今日は久々…まこちゃんとのデート。
でも…
なんだか、つまんない。
「…考えごと?」
まこちゃんが、静かな声で言った。
「別に。」
あたしは、そっけない答え。
まこちゃんのこと、嫌いになったわけじゃない。
でも、前ほど…ときめかなくなってしまった。
「最近、忙しそうだね。」
相変わらず、まこちゃんは静かな口調。
「まあね。」
「結局、桜花の短大に進むんだって?」
「…誰に聞いたの?」
「光史君。」
ハッとして、つい眉間にしわが寄ってしまった。
「お兄ちゃんに、言ったの?」
「何。」
「あたしたちのこと。」
「ああ…言ったっていうか、バレてた。」
「……」
あんなにも、ばらしてしまいたかったのに。
なぜか、疎ましく感じた。
「鈴亜?」
まこちゃんが、無表情になったあたしの顔を覗き込む。
「…ごめんなさい…何だか気分が悪い…」
何だろう…
あんなに大事だったのに。
今は、この時間すら惜しい気がしてしまうなんて。
あたし…もう、まこちゃんとは無理なのかな。
そうよね…
だって、一緒にいるのに邑さんの事考えるなんて、きっともう…
あたしが小さく溜息を吐くと、まこちゃんは。
「…送ってく。」
沈んだ声で、あたしを車に乗せたのよ…。
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