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12月24日。クリスマスイブ。
最近の忙しさが嘘かのように、今日はなんだかんだみんな定時で帰ろうとしているようだった。どこか浮足立った空気感が漂っている。
それは私も例に漏れず。
今日は、年末の挨拶として顧客訪問をしたら直帰なので早めに帰れる。その後は、一弥が予約してくれたレストランで食事をする予定だ。
終業後に着替えるつもりで、お気に入りのワンピースを持ってきたから今日は荷物が多い。ワンピースに合わせて、普段より高いヒールのパンプスを履いてきたし、正直浮かれてるなと思った。
「あー! 遥さん。ついに指輪してきた」
久しぶりにオフィスに顔を出すと、原田くんが目敏く私の指輪を発見した。
「遥さん、幸せですか?」
いつになく真剣に見つめられて、困惑する。
「もちろん。新婚舐めないでよ」
笑顔で答えると、原田くんはそっすか、と呟いた。
「原田くんも相手早く見つけなよ」
今のは余計なお世話だったな、と思っていると、原田くんはいつもの調子のいい笑顔に戻った。
「遥サーン、それはセクハラですよ。ま、でも、実際今年のクリスマスも一人ですからね」
「じゃあ今日はいっぱい働くの?」
揶揄うように言ってみると、じろりと睨まれ、ヒドイ! と怒られてしまった。
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