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目を開けると、私の薬指には眩い星が煌めいていた。
欲しいと言えなかった、あの婚約指輪だ。
一弥は私の手を取ったまま、その場で跪く。
「遥、一生俺のそばにいてくれる?」
「え? 何、プロポーズ?」
「そうだよ。遥、言ってたじゃん。もう一度言ってよって」
そう言われておぼろげながらも記憶が蘇る。
営業所のみんながお祝いしてくれた日、プロポーズの話題になったのに、覚えてないのが悔しくて、つい深酒してしまったのだ。それで酔いつぶれた私を連れ帰ってくれた一弥に、泣きながら言ったかもしれない。
「それで、返事は?」
「もちろん、いいに決まってる」
私はそう言って一弥に飛びついた。片膝ついていた一弥はバランスを崩して、二人で床に転がった。
「一弥、ありがとう……愛してる」
私は何度も一弥にキスをして、このプロポーズは絶対に忘れてやるもんかって心に誓った。
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