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「そんなに知りたい? 絶対笑わないって約束してくれるなら言ってもいいよ」 一弥は近づいた私に背を向けるように座り直した。 「……笑わないよ」 その後ろ姿がいじけている子どものようで愛おしくて、つい声が揺れてしまった。 「もう笑ってんじゃん」 「ごめん、なんか可愛くて。ねえ、教えてよ」 一弥の背中に手を添える。 「たぶん、あの頃からずっと好きだったよ。遥のこと忘れたことなかったし。就職して、遥と再会して、最初はライバルとして負けたくないなって気持ちのほうが強かったけど」 そこまで言うと、一弥は顔だけこちらに向けた。 「正直新しい彼氏できて、フラれて、慰めるっていうのを何回も付き合わされて、早く俺のものになればいいのにって毎回思ってた」 「……それは拷問だったね」 苦笑いして伝えると、一弥に引き寄せられた。 「そう。だから、これからはいっぱい癒してもらう」 「……善処します」 一弥の手が私の首の後ろに回されて、ゆっくりと唇が近づいてくる。 「一弥、あの、家帰ってからにしませんか?」 「しょうがないな」 そう言った一弥は、私の手を取って立ち上がった。 「じゃあ、早く帰ろ」 子どもの頃の写真を鞄にそっと忍ばせて、私たちは二人の家に帰ることにした。
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