19人が本棚に入れています
本棚に追加
第1話
「葉那斗、愛してる。
これからも俺たちはずっと一緒だ。」
「!…はい、はいっ。
俺も木綿治さんのこと愛してます。
ずっと、ずっとずっと一緒にいます…!」
あの日、夜の外灯に照らされる桜の木の下で、俺らはそう言葉を交わした。
その時の桜の花は、俺らの周りを舞い踊るように降りしきっていたのをよく覚えている。
━━━━━━━━━
━━━━━━━
━━━━━
━━━
「…はぁ。
ごめん、今日ご飯食べずにもう寝るわ。」
「………うん、おやすみなさい木綿治さん。」
「あぁ、おやすみ。」
いつからだろうか。
木綿治さんが俺の作るご飯をあまり食べなくなったのは。
…いつからだろうか。
木綿治さんと距離ができ始めたのは。
あの日交わした時はとても幸せだった。
でも、今はどうだろうか。
いつも木綿治さんは疲れたといってご飯をあまり食べなくなって、俺と会話することが減った。
それに、家に帰るのも遅くなった。
何で、こんなっちゃったんだろうな。
こんなはずじゃなかったのに。
「…この余り物、俺の明日の朝ごはんと昼ご飯にするか。」
不意に込み上げできたものに、俺は誤魔化すようにそう言い、木綿治さんの食べなかった
ご飯を冷蔵庫にしまう事にした。
今日の夜ご飯は、ポトフだった。
…パキ
━━━━━━━
━━━━━━
━━━━━
「━お先失礼します。」
「おぅ、お疲れさん。」
今日も一日仕事が終わった。
早く帰って、夜ご飯を作らないとな。
……今日は、食べてくれるかな。
最初のコメントを投稿しよう!