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告白
「アタシはあんたがいいからあんたを選ぶし、選びたい」
乱暴にベッドへ押し倒した男の顔は、ぐしゃりと歪んでいた。怒りでも憎悪でもなく、親と逸れた子供のような不安で途方に暮れた顔だった。
「好き……好きなの……離したくない……あんたを諦めるくらいなら、アタシは……」
淡島は慟哭のような告白に、一切口を挟まずきょとんとした顔で聞いていた。本来なら、寝室に押し込まれそうになった時点で、制圧及び拘束している。喜秋は一向に拳なり蹴撃なりが叩き込まれない事に、一縷の望みを賭けてしまう。腕が伸び、指が鮮やかな緋色の髪に触れた。
「おいで」
ぱちくりと鈴のように張られていた双眸がゆるりと細められた。
――うち、カワイソウなん、好きよ。
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