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springs
僕は自転車にまたがる。
4月になって少しずづ暖かくなってきたのに、夜の風はまだひんやりと冷たい。
「さむ!」
僕はそう言いながら肩をすくめて、ぐっと両手でハンドルを握りしめる。
しばらくこぎ続けると、顔も冷たくなってくるけれど、そんなこと気にしていられない。
僕は自分の家に辿り着いた。
誰もいない部屋の玄関を開け、電気をつけると、外から扉をたたく音が聞こえてきた。
「トン、トン、トン」
こんな時間に誰だろう?
僕はすぐに入口を開けてみると、そこには二人の子どもが立っていた。
10歳くらいの女の子とその女の子の後ろに隠れている1年生くらいの男の子。
「まさ君、こんばんは!! はじめまして!」
ポニーテールに髪を結った元気そうな女の子が、僕に話しかけてきた。
なんで、僕の名前を知ってるの?
すると、隠れていた男の子が、じっとこっちを見ている。
その子の顔を確認しようとしたら、彼はさらに後ろへ逃げ込んでしまった。
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