褒め言葉

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顧問の好き嫌いは、 特に人に対してハッキリしていました。 自分の気に入った生徒には 冗談を言って笑い合ったり、 名前で呼んだり、あだ名をつけたり、 練習の合間に一緒に遊んだり。 ただ、気に入らない生徒には、 冷たかったし、 ずっと苗字で呼ばれました。 あと笑顔を向けられる事が少なかった。 好き嫌いするのは、自由です。 ただ、それを教師として、 他人に分かるようにしてしまうのは とても良い事とは思えません。 嫌われるボクらにも理由はある。 ただ、それを本人に悟られる事はしないで欲しかった。 1人の大人として。 ある時、試合会場で怒られました。 その時はベンチに入れず、 先輩方に沢山迷惑をかけた。 その時も謝らせてくれなかった。 ボクたちは、自分達で判断して、 観客席でも座らず、 隙があれば謝りに行こうとしました。 ただ、先生の側に行くと、 「邪魔」「他の人の迷惑」「どけろ」 そればっかり。 だからボクは、立っている間、 ずっと顧問の方を見ていました。 「謝らせてくれ」 って念を込めて。 半分くらい恨みだった気もするけど… すると、顧問は 「○○さんはずっと私の方見てた。だから話聞いてあげる。」 そんな事を言って、 ボクだけ謝る事ができた。 誠意が伝わったとかなんとか… もちろん、謝った人間は許され、 選手として扱われた。 それ以外は冷たくあしらって、 自分だけ特別扱いされた。 そんなの嬉しくなかった。 でもそうするしか無かった。
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