褒め言葉

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前の顧問よりは 幾分もマシだった。 それでもボクは バスケを楽しむ事が出来なかった。 足を痛めて練習出来なくなった時があった。 顧問はボクに何も言わなかった。 「自分で出来るよね」 それと 「1年生に教えてあげてね」 だけだった。 もうちょっと、何か、 言って欲しかったな…。 夏になって、引退が近づくと皆んな、 自然とバスケを楽しもうとしていた。 ボクも前よりは楽しめるようになっていた。 チームは弱くて、 一度も勝った事がなかったけど、 皆んなでバスケをするのはやっぱり好きだったから。 引退試合の当日、 ボクは朝から酷い目眩がして立てなくなった。 原因はわからない。 でもホルモンバランスとか、 自律神経の乱れとかだと思う。 座っているのも辛くて、 ボクは休む決心をした。 最後の試合だけど、 迷惑になると思ったから。 皆んなには申し訳ないが、 ボクは少しも後悔しなかった。 最後にバスケ出来ないのは ちょっとだけ残念だった。 でも、試合に出なかった事、 休んでしまった事は少しも後悔しなかった。 1つ後悔したとすれば、 「バスケを選んだ事」 それだけだった。 バスケが好きで始めたけれど、 好きになれなかった事、 嫌いになってしまった事を後悔した。 バスケを好きになった事を後悔した。 それだけは後悔したくなかった。
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