嫌いなアイツ

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突然だけど、俺には凄く嫌いな人間が居る。目に入るだけで苛立ってムカつく、そんな奴。 「モリテル君が大きすぎて黒板見えねぇんだけど。」 「アホかッ!!どんだけ小さいと思っとんねんッ!…女子と変わらへんッ!!」 「自分で言うなよウケる~~」 退屈な授業中、教室の片隅から聞こえてくる笑い声。それにニヤニヤと楽しそうな顔したセンコーも加わり、笑いが教室へと広がっていく。 モリテル…森 照信(もり てるのぶ)。俺が嫌いな男を、教室の皆が弄って笑い合っている。マジでやめて欲しい、こっちは出来るだけ視界に入れない様にしてるのに。 ……一番ムカつくのが、モリテル自身も嬉しそうに笑っている所だ。自分が構われているのを喜んでいる感じが本当にイライラする。人に気に入られてぇキョロ充が。 そんな黒い感情を抱え俺を尻目に、向こうの集団は雑談を楽しげに進めている。 「そなッ…先生まで何いうてはりますの…もう転校しますよぉ、堪忍してください…」 「森うるさいぞ、サッ!授業に戻りまーす。」 「何でやねんッ!!」 センコーとしてもやりやすいのだろう。彼をいじれば自分も生徒との距離を縮められるし……馬鹿どもは、他にいじる対象が無ければセンコーをいじる。 モリテルが丁度良いサンドバックなのだ。 そんな周りの環境も含めて俺はこのクラスの連中が嫌いだった。区立の普通の中学だからしょうがないけれど、低俗な馬鹿共と同じ檻に入れられている環境は腹立たしい。 「……クスクス、やっぱりモリテルって面白いよね。」 「関西弁の時点で何かずるいよねぇ~、、後は動きッ!なんかウケる!」 隣で女子が騒いでいる。モリテルのどこが面白いんだっつーの、ただ関西弁でウルセェだけだろ。人を見る目ねぇのかな? 俺がそんな事を考えながら視線をノートに戻す。 …すると突然、その女子の一人が俺に向かい声をかけてきた。 「ねっ!仁(しのぶ)!全然笑って無いじゃん!」 ワッ女子ってやっぱ目敏いな。痛い所付きやがる。一々気にすんじゃねーっつうの。 俺はすぐに優しい笑みを作り、女子に向かって申し訳無さそうに口を開いた。 「面白いけど…なんかちょっといじめっぽくて可哀想かな。モリテルが。」 俺がそう言うと、語りかけられた女子はキャーっと黄色い声を上げる。楽しそうに。 「ワッ…めっちゃ天使じゃん。優しいかよっ!」 「イケメンでその発言はヤバイね。普通に。」 天使ねぇ……なんだそれ? 「イケメンじゃないし、天使じゃないよ…もー。」 優しくて謙虚で真面目、なおかつ弱者にも寄り添っている意見。 そんな、俺のイメージに完璧に当てはまる答えを、俺はスラスラと言う。…まったく本心では無いけど。 女子が何やらまだキャッキャと騒いでいるが、俺は彼女らの事は笑いながら流して、横目でチラリとモリテルを見やった。 …ムカつく。 アイツは何やらまたヘラヘラと笑っている。後ろの男子に下敷きで小突かれながら、『やめろやッ!』とふざけているのだ。 「……」 モリテルはいつもそう、アイツのこのクラスの立ち位置は『面白い弄られキャラ』…俺にとっては踊らされてるピエロだけど。 まぁだから、アイツが授業を受ける妨害をされていてもセンコーも誰も怒らない。これが普通なのだ。 「…ふぅ…」 思わず、口から溜息が溢れる。なんであんな奴のために頭使わないといけないんだ……自分でも嫌になる。 ……そもそも、モリテルがこのクラスに転校してきたのは中学二年の初め。最初は『一重でチビで変な猿みたいな顔した、頭悪そうな奴だなぁ』と思った。ただそれだけだった。 だけど、アイツが自己紹介の後に一発ギャグをして、みんながそれに爆笑して、モリテルが嬉しそうに教室を見回していた時、『あっコイツなんかイライラする。』と俺は思ったのだ。 それからアイツは…お得意のいじられキャラでクラスの立ち位置を確立していった。猿顔ブサイクでチビ…だけど、何故か少しだけ愛嬌を感じる顔。口調とかも…女子が言うには『小動物系?なんか可愛い~~』らしい。マスコットってやつ? 転校してきたその日には『モリテル』って渾名が付いて、ワイワイキャイキャイ彼は照れ笑いをしていた。 まるで、人畜無害って装いで。誰にも悪意を持ってませんって顔で。 「……」 ……だけど、俺は知っている。俺はそんなモリテルが嫌いだけど、モリテルも『俺の事が嫌い』なのだ。 俺は表面上はモリテルに優しく接しているし、モリテルのいじりが行き過ぎていればそれとなく止める事すらある。 俺が制止をすれば周りもそれ以上の事はしない……自分で言うのもなんだが、俺は『高身長、イケメン、実家が金持ち、学力学年トップ』だ、いわゆるスクールカースト上位ってやつ。 無自覚なフリをしているが、クラスの奴らが俺を特別視している事くらいちゃんと理解している。 「なんだかなぁ…」 だから、モリテルには感謝される事はあっても嫌われる要因なんてない筈だ……なのに、アイツは時たま『嫌な視線』で俺を見てくる。嫌悪が透けて見えるそんな黒い視線。 最初は気のせいかと思ったけれど…何度もそういう事があったのだ。彼は確実に心の中では俺を敵視している。 これを別の誰かに言ったら『モリテル目つき悪いし気のせいじゃ無い?』とか言われそうだけど……俺は他人の悪意に『凄く』敏感なのだ。 「やめやッ!もう!もう怒ったるーーー!!」 「何その動きウケんだけど。」 モリテルの声がこちらまで届いてきた。 あぁ薄ら寒い。 …俺は思考を振り切る様に、視線を黒板へと向けるのだった。 「じゃっ笹川。また明日。」 「おー、じゃあ春野(はるの)また明日~~!」 今日は部活が無い日だった。だから早く帰れてラッキー。 友人の笹川が、俺に手を振りながら道を進んでいく。俺はそれに律儀に答えた後、真っ直ぐに家へと足を進める。本当はもう少し笹川と一緒に歩いていても方向的には家に帰れるのだけれど……別に一緒に居たく無いのでこれで良い。 笹川は一応は俺の友人。だけど、俺は彼が好きなわけでは無い。『顔がそこそこ整っていて低俗じゃなくて当たり障りない。』丁度良い。だから友人。 彼もきっとそれは同じなのだろう、強く踏み込んで来ないところから見ても、彼も多かれ少なかれ同じように俺を思っているに違いない。 つまりは利害の一致の交友関係なのだ。 家の玄関の前までくると、俺は鍵を取り出して家の扉を開ける。 ガチャガチャ… 「ただいまー。」 俺は誰も居ない家にそう声をかけてから、洗面所で軽く手を洗い、キッチンに置いてあったオヤツのパウンドケーキを持ち出して、二階の自分の部屋へと向かう。 そしてそのまま部屋に着くと、俺はケーキは食べずに机の上に置いて、焦る様にノートパソコンを開き、イヤフォンをジャックに差し込んだ。 片手ではマウスをいじりながら、もう片方の手で俺はティッシュペーパーを手元に引き寄せて。 「…昨日見たヤツ、ブックマークしたっけ…」 サイトを開く瞬間、誰も居ないのにチラッと部屋の後ろを確認して、俺は再度、ウィンドウに視線を戻した。 画面上には、あられもない性交の様子が何件も映し出されている。 「これこれ…あったあった。」 動画を再生して、俺はゆっくりとズボンからペニスを取り出していく。 興奮で息が荒くなっていくのを感じながら。 「…ふぅ…ん。」 マスターベーション。それは誰しもがする事だし、特段別に変わった事でも何でも無い。 ただ……俺の場合は『何を』対象にしているかが問題で…… 「ハッ…ふぅ、はぁ…」 画面に映し出された人物は両方とも男。犯すのも犯されるのも男。……そう、俺はゲイなのだ。 いつから気付いていたかと言われると微妙だ、物心ついた頃にはもう察していたかもしれない。 別に女になりたいわけでは無いし女言葉を使いたいとも思わないけれど…俺は男に恋をしてしまう。女では無く、男を『抱いてみたい』と思う。 小学生の頃は、そんな性癖のせいで苦い思いもした。自分のイレギュラーさにあまり自覚の無かった11歳の俺は、同級生の男子に『告白』をしてしまったのだ。 今思えばさして好きだったわけでも無い、ちょっと見た目がタイプだっただけだ。 結局すぐに『きめーきめー』のドンチャン騒ぎ。告白の翌日には話がクラス中に広がり、俺は卒業するまで『ホモキモ』というあだ名で呼ばれいじめられ続けた。 卒業とともに引っ越して東京に来れたのは本当に良かったと思う。新天地で、俺は絶対に今までと同じミスをしないと誓った。 「……チッ。死ね。」 俺は上手くコントロール出来ない気持ちを吐き捨てる様に舌打ちをし、ダラリと睨みように天井を見上げる。 暗い事を考えていたら、段々と興奮が冷めてきた。 ……憂鬱だ。 中学に入ってからは…自分のキャパを超えるほど、人に好かれる様に生きてきた。そのお陰で、俺はクラスカースト上位の人間だけれども…限界を超えたお人好しは着実に俺の心を蝕んでいる。 元来、俺は優しい人間でも無いし、聖人君主でも何でも無い。 「あ~~…うぜっ。」 …きっと、俺は同族嫌悪でモリテルが嫌いなのだろう。『人に好かれたい好かれたい』って所がお互いに見え透いて鼻に着くのかもしれない。 俺は気分を変える為に、他の動画を散策する…もっと何か嫌な事忘れられるくらい興奮する奴ないのかな。 「う~ん…」 ちなみに、俺の好みは色白で程良い筋肉が付いた堀の深い白人タイプ。 鼻ぺちゃ細目、色も浅黒い、アジア丸出しのモリテルは俺の好みの対極に居る。…アイツチビだしホントに何なの?男として良い所一つも無いじゃん。 「…ふふ。」 ……まぁでも、あーゆーのが好きなタイプのゲイも居そうだな。何て言うか『雄臭く』はあるしね…ある意味。 「グフッ……ふふふ。」 おもしろ。抱かれるモリテルかぁ……想像出来ないなぁ。どんなんだろ? 僕は萎えたペニスをいじりながら片手で一度動画を止めて、ボーーっとその情景を想像してみる。 アイツ気弱そうだし、めっちゃ泣きそうだな。顔くちゃくちゃにして……背低いし手足短いし、すっごい一生懸命しがみついて来そう。 『もうッ、、無理やぁ、、しのぶぅッ、、』とか……そんな感じ…ははは。 …なんだ、なんだか変な気持ちになってきた。 「ッ、、あ“っ。」 その時、俺は何故か自分のペニスが勃っている事に気が付いた。 「な……なな、はぁ?」 ……なんだ?どういう事だ?はぁ?…マジで最悪何ですけど、意味ワカンねぇ。 モリテルで俺は興奮したって事?…いやいや、違う違うそれは無い無い。 「クソがッ…死ねアイツ!!」 俺は気持ちの悪い妄想をかき消す様に急いで動画を再開させた。 恐ろしい…どうかしてしまったのか俺…… 「チッ…」 先程の汚い妄想を打ち消す為に、俺は食い入ってPCの画面を見つめる。 「なんだっつーんだ…」 あぁ、全く思い通りにならねぇな。 「コラーーーー!!春野ばーーか、帰んじゃねぇっつーーの!!オメエが主役だろーーー!」 「やめろって、アイツ明日朝からバイトあるっつってただろーー…ほら行け行け!こいつメンドイからマジで!走れ春野!」 「ははは、もー酔いすぎだって…じゃ、俺もう行くわ。すまん…オールはまた今度!」 「ったくよーーーッ!」 俺はこれからも飲みを続けるだろう大学の友人達に背を向け、スタスタと駅に向かい歩き始める。 まったく本当に面白い奴らだ。グダグダふざけて楽しい友人。本当はもっと一緒に飲んでも良かったけれど…今日は何となく、もう帰る事にした。 ちょっと疲れたし……だから、朝からバイトと言うのは嘘。『めんどくさい』が理由じゃアイツらはしつこいだろうから。 「…しっかし、冷え込みなぁ。」 俺はマフラーに顔を埋めて白い息を吐く。 季節はもう12月、町は一面クリスマスモードだ。キラキラとイルミネーションが輝いている。 そんな中、一人寂しく歩く俺、、何だか少しだけ惨めな気持ちだ。 「はぁ…ったく。」 今日の突発的な飲み会は、そもそもが俺の『慰め会』だったのだけど。 …12月、クリスマスを目前に彼女と別れた俺の為の。 「……」 俺はゲイだ……だけど、それを友人達には言っていない。 高校時代、『お前イケメンなのに彼女いねーの?ゲイ?』とふざけて友人にからかわれた時から、俺は自分の性癖を隠す為にダミーで彼女を作る様になった。 長続きした事は一度も無い。…抱いたりキスをするのは意外とそこまで大変な作業では無かった。ただ、愛情恋慕がこちらには一欠片も無いので優しくするのが面倒臭くなって行くのだ。自分の暗い面を悟られる前に、いつもテキトーな理由を付けては彼女と別れて来た。 俺はいつも聖人君主だったから、彼女達の方が勝手に『私の方に何か問題があったのね』となってくれるので助かってはいるけれど…… 「先行きがなぁ…どうすんだっつの。」 俺は駅近くのチェーン飲食店が多く立ち並んだ道に入った。 ダミー彼女と並行して、セフレの男や普通の彼氏を作ってみたりもした、ネットなどで秘密裏に。 …だけど、結局はどの男とも上手く行かなかったのだ。 このまま俺は恋や愛を知らないままで死んでいくのだろうか?…それとも、俺にはそもそも愛と言うものが備わっていなかったのか? もう21歳、器用に生きるのはどんどん上手くなって入るけれど、感じる不自由さは幼き日のままだ。 「…あーー。」 そこで俺はふと、中学時代の事を思い出した。 そういえば…今アイツ何してんだろ?大嫌いだったモリテル。チビブス関西人。ウザいから忘れたいのに、何故か定期的に思い出してしまうアイツ。 あの一重の細い目、困った様なくしゃっとした笑顔、ぺちゃぺちゃの鼻、猿みたいな骨格、くちゃっとした早口の喋り。…全て鮮明に思い出せる。 「フゥ~…」 白い息をわざと出してみる。煙草なんて吸った事ないけれど、こう言う時に吸うと気分良いのかな? 「……」 結局、モリテルとはほとんどしゃべらずに俺は中学卒業を迎えた。 …一度だけ、二人きりで過ごす事があったけれど…… 「なつかしいわ……」 中三の卒業間近、先生に二人だけで山済みの本を別校舎に運べと命令されたのだ。あれは確か、授業に珍しく俺が寝坊をして、モリテルはいつも通りに寝坊して、二人して罰としてやらされるという経緯だった。 いつも俺はキチンとしているのに理不尽と思った記憶がある。 やはり、俺と二人きりになると、いつもは明るいモリテルもテンションが低かった。『何でコイツとやねん…』と言わんばかりの暗い不満顔。 それに俺もイライラしてしまって、らしくもなく無愛想に作業を進めたんだっけか…… 『…この本めっちゃ量多いし、箱にまとめて持って行こうや。その方が楽やで。』 『あぁ…そうだね。』 『あっちにゴミ捨て場あるやろ?そっからテキトーに取ってくるわ。』 『ありがと。』 意外とキビキビ仕切るモリテル…多分、さっさと終わらせたかったのだろう。 『……』 『……』 二人で箱を持ち運び歩く放課後。夕焼けが差し込み人の居ない別校舎。 箱に本を入れてからは一切会話が無い。無言で気まずい空気の中、別校舎にたどり着いた俺達は、指定された三階の教室を目指し階段を登り続けていた。 そして、丁度二階の階段の中腹くらいだっただろうか? あの事故が起こったのは。 ブウウウウンッ、、 『わ“ぁッ!?』 『えっ?』 カナブンか何かだろうか?大きめの羽虫が、まるで狙い済ましたかのごとくモリテルの顔に突撃したのだ。 パニックになっていたのか、何故か箱を手放さずに身を振ったモリテル。 『な”ぁッ…!』 『あ“ッ…!』 案の定、バランスを崩し階段から落ちそうになった。 『バッ、、!!っかやろう!!!』 俺は咄嗟に箱を離し、気が付けば、、モリテルを引っ張り抱き止めていた。 『ッ……ぁ…』 『ッ………』 階段の真ん中で抱き合う二人。モリテルは親が煙草を吸うのか、その制服からはかすかに煙草の匂いがして…… 余程さっきの事が恐ろしかったのか、凄く心臓が高鳴っていた。 『…気をつけなよ。』 『おぉ…すまん。』 おずおずと俺達は離れる。 俺が何かを言う前に、モリテルは俺が落とした箱と本を拾い集め、そっと俺に差し出してきた。 『あの…これ…すまんなぁ、ホントに。』 『あ…いや、良いし。』 そのまま黙って、目的地の教室へと向かう。二人とも先程より余計に気まずさが増していて、無意識に歩調が早くなっていた。 『それじゃ…』 『おう……ほな。』 荷物を運び終わり通常の校舎に戻ると、挨拶もそこそこに俺はさっさと家に帰ろうとした。 凄く居心地が悪かったと言うか、恥ずかしかったというか…モリテルの顔を見ていると、居ても立っても居られない気持ちになったのだ。 …けれど… グッ… 『ん?』 何故か、モリテルが俺の制服の裾を握って来た。 俺は不思議に思い後ろを振り返る。 『…ぁ、あの、』 『ぇッ、なに?』 その顔は、泣きそうとも崩れそうとも言える様な、グズグズクシャクシャの不細工で…… 『……さっきは…ありがとうな。あの……謝ったけど、お礼は言ってなかったから。』 その小さな背をさらに縮こませ、モリテルは顔を真っ赤にしながら言葉を発していた。 …いつもの五月蝿い大声から程遠い、蚊の鳴くような小声で。 『ッ……う、ん。別に良いよ。気にしないで。』 俺はその時、いつもとは全然違うそのモリテルの姿に、妙に胸が高鳴ったのを覚えている。 どうしてだろうか?嫌いな人間に感謝されたから?……物珍しくて? 『ほなッ!!』 『あっ……』 俺の返事を聞いた瞬間、モリテルは勢いよく走り去って行く。 『……』 ………そんなアイツの後ろ姿を、俺はモヤモヤした気持ちで見つめ続けたのだった。 「あーあ、なっつ。」 それから、結局お互いにほぼ会話の無いまま卒業。 モリテルは少し離れた馬鹿高校に進学した。仲良しグループもかなり違かったし、その後のアイツの人生は知らない。 ……というか、自分は何でこんな事を思い出してしまっているのか。 変だな…ダメだ。なんか気分転換しないと。 「なーーんか…ラーメンでも食ってくか。」 チェーンが立ち並ぶ中、一件だけある個人経営のラーメン屋が目に付いた。 この店入った事無いけど…まぁ、駅近でやっていけてんならそこそこ旨いんだろ。 腹がパンパンになれば、今の変な感情も消えるかもしれない。 「いらっしゃいませーーー!!!」 「塩ラーメン一つ。あと…この餃子三つも。」 「はいよ。」 注文を済まして俺は席に着く。まぁ…飲みの席ではほとんど食ってないし、まだ九時だし…ギリギリ良いだろ。 俺はスマフォを取り出しネットニュースを見ながら、ラーメンが運ばれるのを待った。 「お客様、お冷やとおしぼりです!」 「あっ、どうも。」 すると、頭上でハツラツとした男の声が聞こえた。何かおどけてるって言うか……少しイントネーションが鈍ってるな。 俺は何故かその声が気にかかりチラリと視線を上げた。 ボロボロスニーカー、エプロン…あ、男だけど結構小柄な人なのかな?背が小さい。 ……ん“?… 俺は思わず、驚いてスマフォを手から落としてしまった。 ……そこに居たのは… 「…え“、?…モリテル?」 「えっ?はっ?…なんでそれ……あ”。」 こんな…こんな変な偶然があるものなのか。 先程モリテルの事を思い返して居たら…会ってしまった。まさかまさかだ、まさか過ぎる。 俺は焦る気持ち抑えながら、少しだけ震えた指で自分を指し示す。 「俺…覚えてる?あの…春野仁だけど?…モリテルだよね?森照信くん…」 「うんそうそうモリテル。…はぁ~、相変わらず男前やね、春野。」 「なんだよ、照れるから止めてよ。」 「ははは、すまんすまん。」 モリテルは苦笑しながら、頷いている。 驚く程にモリテルはモリテルのままだ。そりゃ成長して丸みとかも取れてるけど…身長は相変わらずチビのまま。多分160センチ無いくらいじゃないか? 目付きも、どこかせかせかした雰囲気も、あの時のまま。 俺は突然の事に呆気にとられ、ジロジロとモリテルを見つめてしまった…すると、彼は身体をモジモジさせながら、こちらには目を合わさず店の奥を向いてしまう。 「ほな…あの、もう行くわ。」 「え?」 「バイトもう上がりなんよ、すぐここ出んと。次に別の日雇いのバイトあんねん。今ちょうど区切りええから…」 「あっ…いや、そうなんだ。大変だね。…お疲れ。」 「ありがとう…ほな。」 モリテルは逃げる様に歩き出した…あの気まずそうな顔、相当に俺との再会が嫌だった様だ。 「…ッ。」 このまま、お別れか。 ガタッ 「ぁ…」 その時、気がつくと俺はラーメン屋の軽い木製椅子から立ち上がっていた。 何だか、このままサヨナラしたらモリテルはもうこの店を辞めてしまう様な気がする。『自分にどれだけ影響力があるって思ってるんだよ、自意識過剰かよ』って話だけどさ…アイツ俺と会いたく無さそうだったし、責任感とかも無さげだから、ブッチで今日限りバイト辞めそう。 「……」 ……いや、あれ? …それが俺に何の不利益がある?別にモリテルと会えなくなったからって俺になんも困る事は無いだろう? そう思うのに、足が勝手に前に進む。 どうしたどうした?さっさと席に戻れよ俺。周りの客も不審がってるぞ。訳のわからないことをしてんじゃねーよ。 「ッ……」 何で俺の足は勝手に動く? フラフラフラフラ惹きつけられる様に、俺はモリテルの背後に近付く…そして… グッ… 「え“っ?」 俺はモリテルの肩を引き寄せていたのだった。 「えっ…なに!?えぇえなにッ!?」 モリテルは異様な程に驚き跳び上がった…いや、異様なのは俺の方か。 目を白黒させているモリテルの手を引き、俺は自分の席へと無言で引っ張り進む。 「こわいこわいこわいなにッ!?なんなん?おかしいでお前っ。」 「……これ。」 俺は鞄に入っていたメモ帳を取り出すと、サラサラっと自分の連絡先を書き、それをモリテルに渡した。 モリテルはポカンとしたアホ顔でそのメモ帳の切れ端を握り見つめている。 ……何してんだろ俺。酔っ払ってんのかな?モリテルも引いてんじゃん。 「なんなんこれ?何の番号?どういう事?…ワケわからんて…」 「俺のメアドと電話番号。悪用すんなよ。」 「は?…どゆことなん?」 どゆことなん?どゆことなんって……どういう事なんだろう? 俺にもわからねぇ。 「……俺、酔っ払ってるから。それじゃ!」 「ちょっ!?まちやッ!!」 ガラガラガラッ! 急に、自分がしている奇行に対しての羞恥が溢れ出した俺は、逃げる様にして店を出てしまった。 ラーメン食えてない…だけど、あれ以上あの空間には居れなかった。周りの客の色物を見る目、モリテルの困った様子…ああいう視線はどうも本当に苦手だ、大恥かいた。 「はぁぁあッ…」 深くて強い溜息を吐く。 グルグルと、先程の気不味い空気をリフレインする俺の頭。 あぁもう嫌になる本当に…モリテルと関わるとろくな事が無い。 「チッ…バカ何やってんだ俺。」 俺は小走りで駅へ着くと、少しだけ叩きつける様に定期を改札へとタッチさせた。 イライラする。自分に。 「はぁぁ、、あ”?もう酒ねぇじゃん。…ッチ。瓶のウィスキー残ってねぇかな。」 一人暮らしの部屋で、俺はPCで映画を見ながらお菓子を肴に酒を飲んでいた。 部屋の床には、十本以上の酎ハイやビールの缶が落ちている。 「ゲフゥッ…」 ラーメンを食べられ無かったので、代わりにコンビニでカップ麺でも買おうと思ったら……衝動的に酒を買い漁ってしまったのだ。 「はぁぁ…」 ザラザラとした気持ちが晴れない。 ……結局、よくよく考えたら自分がモリテルに電話番号を渡したところで、彼が連絡してくる筈も無いだろうと気が付いたのだ。 そんな事どうでも良い筈なのに…それに気が付いた時、凄くショックを受けて。そして、凄くショックを受けた自分にショックを受けて…自分でも自分がよく分からなくてモヤモヤして……パッと忘れたくて…それでそれで… 「うぃいい…今何時…はぁ朝の六時半!?…クソがッ。」 時間を確認した俺はイライラをぶつける様にスマフォをベッドに放り投げる。 はぁ…そろそろ寝るかな。今日は何もねぇけど、明日は大学もバイトもあるし。 …ホントに趣味とかやりてぇ事とか見つけねぇと。 夢中になれるものが無いから余計に人生が暗くなってく。 「そんな事言って…俺別にこだわりとかねぇしよぉ……なんっにも。」 溜息を吐き、転がり込む様にベッドに身体を埋める。 すると、一気に全身が重い睡魔に襲われた。 目の前でチカチカとスマフォの光が目に入る。うざい…映画も消してねぇからウルセェ……だけど、もう指一本も動かせねぇ。 俺は欲望のまま、全身を包む睡眠欲に身を委ねた。 けれど…… ピロロロロロロロッ♪ピロロロロロロロッ♪ 「あ“電話?…ッチ、しらねぇ番号だな。」 突然、こんな明朝だと言うのに電話が鳴ったのだ。 俺は自分の睡眠を邪魔した非常識な電話に怒り、さっさと切ってやろうと手を伸ばした。 …だがしかし、そこで俺の中に、一つの黒い考えが浮かび上がったのだ。 「……ケケッ。」 ……どうせなら、変な勧誘とかだったら『死ね』って一言言ってやろう。 そうしたら少し気分もスカッとするだろうし、まぁ、相手も悪人なんだから別に良いよな? 冷静に考えれば完全に酔っ払いの思い付きなのだが、俺はスッと電話を取る方に指をスライドさせる。 「もしもしぃ?誰っすかぁ?」 「……」 「え?なに無言?イタ電?はぁ?」 酔いに任せて高圧的な態度で喋る俺。 しかし…電話の相手は相手は何故かうんともすんとも言わないのだ。 まさか、このご時世に本当にイタ電か? 「切るけど…まじさぁ本当にアンターーー」 勧誘じゃ無いけどこれも悪意だ。 …『死ねよ』そう言おうとした瞬間だった。 「あのこれ…春野くんの電話番号ですよね?」 蚊の鳴くような細々とした声で、相手がそう言ってきたのだ。 「ッ…え”?」 『何やアイツ、騙したんか?』とボソボソとした呟きも聞こえてくる……えっこれって…あれ? 「え…もしかしてモリテル?」 「あ、うん…せやけどなに?なんで怒ってるん?…間違えたかと思ったわ…会話の時とキャラ違いすぎるやろ。春野。」 「う“ッごめッ…わっイテテッ…ごめんごめんッ!!」 「えっなになに?どないしてん?…ちょっと落ち着いてな…」 「うん…ごめッ…悪い悪い。」 俺は勢い良くベッドから起き上がり、何故か部屋中を歩き出した、すると、暗い部屋でフラフラと歩いているので、思い切り素足で空き缶を踏んづけてしまったのだ。 いや…モリテルマジで電話くれた…何で?何でなの? 「あっマジで電話くれたんだ……あってか時間ヤバイだろ?どうしたこんな時間に。…いや、迷惑とかじゃねーけど!!」 「あっ…せやねほんま。えっと…さっきまで夜勤のバイトしててん、今ちょうど終わったんよ。だから勢いで掛けてしもた。」 「いやいや全然大丈夫!今俺飲んでたし!あっ…一人でだけど。寂しかったから電話ありがとって事ね、、えっと、、モリテルって今何してんの…フリーター?」 会話がもうグッチャグチャだ。自分でも何を言っているか分からない。 そして言葉にした後に、俺は『やってしまった』っと後悔した。夜勤のバイトをしているからと言ってフリーターとも限らないだろう。 しかも、本当にそうだとして、大学に通う自分が、同い歳で働いている奴に『フリーター?』と聞くのは配慮に欠けている。 いつもならこんなミスはしないのに、酒で頭が上手く回ってないし…何故か凄くテンパっている。 しかし、モリテルは特に気に障った様子も無く、むしろ、少しだけ楽しそうに言葉を返してきた。 「なんやお前、めちゃくちゃやんけ……まぁそやで、フリーターしてんねん。…春野は大学か?中学の頃から頭良かったし、えぇとこいったんとちゃう?」 「あ、まーそこそこ、そんな良くも無いよ。…えっとあのさ……モリテルってこの頃忙しい感じ?」 「うん?まぁ…忙しいっちゃ忙しいけど……なになになんで?」 「いや…今度飲み行こうよ。いつでもいいよ、そっちに合わせる。」 「え”……あぁーー…えぇよ別に。今じゃあ今月空いてる日言うからメモってくれへん?なんかすまんなぁ。」 「うんメモる!!ッ…いてッ…えっと…紙々…」 「どうしてん…落ち着いてなぁ。ホンマに。」 呆れた口調でそう言ったモリテル。 俺はめっちゃ恥ずかしくて、頬が熱くなって…だけど、何でか勝手に口角が上がってしまう。 「……うんうん。じゃあその日に、新宿東口…7時ね…おけおけ。忘れんなよ。」 「忘れへんて…じゃあ俺もう電車乗るから。またなー…はいはい。」 「バイバイまたね…おやすみ。」 「……何やねんハハ。おやすみ。」 通話が終わった。 俺はゆっくりとベッドに座り、慎重にモリテルの電話番号を自分のスマホに登録する。 ……約束しちゃった。次に繋げっちゃった。…俺、モリテルとまた会うよ。 「……ッ、やっば何この感覚。」 さっきまであんなに眠かったのに、今は目が冴えて仕方が無い。 モリテル…嫌じゃ無かったのかな。 俺の事、今も嫌いだと思ってたけど…… 「……はぁ。」 とりあえず、店でも何軒かピックアップしとくか。 「あー……さび。」 ごった返す群衆の中、俺はスマホをいじりながら、柱に背をもたれ掛けさせている。 あれから一週間後、今日はクリスマスのイブイブだ。盛り上がりの本番は明日からとはいえ、街はどこかしら浮ついた様な気配がしている。 「…前髪」 俺は暗いスマフォの画面を鏡にして、髪を少しだけ整えた。 いつもならササッとワックスで整える程度なのだが…今日はイヤに長く弄ってしまった。 再開から今までモリテルにダサいところしか見られていないし…これ以上アイツに舐められたく無いという俺の気持ちの表れなのかもしれない。 服装も前日から決めていたのに、家を出る直前に少し悩んでしまった。 「チッ……」 何なのだろう?余裕の無い自分にイライラする。 もっとスマートに人と関わりを持つのがいつもの俺だ…モリテルはいくら縁が切れたって困らない相手だろ? もっとドンと構えろよ…自分。 ピコピコ♪ 「あっ!…」 俺がそうやって一人でモヤモヤしていると、ちょうどのタイミングでモリテルから連絡が来た。 ……内容的に、どうやら、駅にはもう着いているらしい。 「何処だ?」 モリテルを探す為に、俺がキョロキョロ辺りを見回し始めると… 「後ろ。」 「えっ!?」 突然誰からか肩を叩かれ話しかけられたのだ。 俺は驚いて振り向く……すると、そこにはニヤニヤ笑ったモリテルがそこに立っていた。 どうやら、驚かせようとして柱の裏に隠れていたらしい。 「も、お前~!ふざけんなよ!!」 「はは、わろてるやん。」 ……なんでだろう、中学の頃はアイツのこういう所が嫌で堪らなかったのに、今は何故か楽しいと思える。…俺も大人になったって事だろうか? 「驚かせんな馬鹿!…じゃあもう行くか。」 「おうおう!いこかいこか~~!」 「何処いく?」 ウキウキした気分で歩き出した俺だったが、ふと、視線がモリテルの服にとまる。 …しっかし、コイツの格好… 俺は居酒屋が立ち並ぶ方向に足を進めながら、チラチラとモリテルの服装を盗み見る。 色あせたジャケット、毛玉だらけのトレーナー……そして、泥みたいな何かが付いた汚いスニーカー。正直、最悪な格好だと思う。 別に男だけの飲み会だしそんな気張った格好してこいとも言わないけどさ…それにしてもテキトー過ぎないか?なんだか自分が軽んじられている様でムカつく。 しかし、そんな俺の不機嫌を知らずに、モリテルは笑いながら俺の横を歩く。 「せやなぁ…俺あんま金無いねん。飲み放題が安い所にしてや…春野ええとこ知ってる?」 「あーおっけい了解。」 「俺、ビール飲みたいわッ!」 そう言って、モリテルは勢い良く両腕を振り上げた。それは余りにもおどけた格好で… …なんかホントに能天気だなコイツ。 万歳をしながらケラケラと笑っているモリテルを見ていると、俺は毒気を抜かれた様な変な気分になった。 もう…何でも良いか。モリテルはモリテルだ、そんな深く考える相手でも無いだろう。 「…腕伸ばしてもモリテルは小さいね。」 「なんや急に!!イジんなや!!…春野は昔より更にデカなったなぁ…何センチ?」 「185かな確か…」 「やばぁ…大台のっとるやん」 「ははは、まぁ父親もデカイから。…モリテルは今何センチ?」 「お前…そういう事聞くキャラちゃうかったやん。…160丁度。」 「いいね。」 「マジで何が?説明出来る~?」 モリテルはふざけてるのか本気で怒ってるのかわからない顔で、一人プンプンしている。 俺はそれに一応『ごめんごめん』と謝りながら、多分なにも考えないで歩いているであろうモリテルを、さりげなく誘導して歩くのだった。 「さすがやなぁ将来完全に安定やん。」 「そんな事無いけど…俺だって一応色々悩んでるよ。」 「ほんまけ?絶対嘘やん!羨ましいわぁ。俺も勉強まともにしとけば良かった。」 駅から少し離れた一番飲み放題が安かった居酒屋。 もう2時間以上は経過しただろうか?最初は中学時代の思い出やお互いの知り合いの情報を言い合い盛り上がっていたが、段々と会話の内容が各々の近況報告になっていった。 モリテルの横の灰皿には、20本以上の煙草の吸い殻が捨てられている。モリテルは金が無いという割にはスパスパ煙草を吸っていて、喫煙をしない俺は『そこで倹約する気は無いのか』と疑問に思ってしまう。…それとも、そういう問題でも無いのか。 「……」 ……俺の父親も喫煙者。別に不快にも思った事は無いが、モリテルが煙草を吸うのは不思議と少し不快に思う。 『汚らしい』とか『煙が嫌』とかそういうのでは全然無い。 チビのモリテルが煙草を吸うと…変な話だが、その身体の全てに煙がまわっていってしまいそうで少し怖いのだ。 何といえば良いのだろう?…心配……ん?俺がモリテルを心配? 「俺なぁ夢あんねん。」 「何夢って?どんなの?」 俺が少し眉をひそめ灰皿を見つめていると、そんな事にまったく気が付いていないだろうモリテルが、据わった目をして俺の方を向いた。 …どうやら大分酒が回っている様だ。 「……俺、今めっちゃ貧乏やん?」 「あ…あー。」 「俺が高校ん時に親父が仕事失敗して…借金めっちゃあんねんな。だから大学も行けへんかったし、まぁ…元々行ける様な頭や無かったけど。で…その借金がもう返されんくらいデカイんよぉ。」 「……」 「最初は俺もな、別に高卒でも正社員になれる所なんて幾らでもあるし、それで俺からもお金少しづつ返していこうと思ってたんやけど…そんなんじゃ全然追っつかんねん。」 「え…どうすんの?なんかそういうのってちゃんと相談すれば良いんじゃ?っつか、どっから金借りてんの?」 「分からん。変な所とか知り合いとか、、多分まともでは無いと思うねん。…俺それでな、今バイトで小金稼いでな、芸人になってやろうと思ってん。」 「……は?」 え、意味わかんねぇ。 何言ってんだこいつ。 話の急展開に俺は思わずポカンとモリテルを見つめてしまう。しかし、モリテルは全くふざけた様子も無く、むしろ、今までよりずっと真剣な顔で煙草を吹かしている。 「春野そういうの興味無さそうやしあれやけど、何か芸人の学校みたいなのがあって。今はそれに通うお金を貯めてん。」 「いや…悪いけど意味わかんねぇ。絶対まともに働いた方がいいって。親父さんの借金もちゃんとしたとこに相談してさ……話飛躍させすぎなんだよ。冷静になれ。」 「もう無理やもん…俺、一発逆転しか無いと思っとる。ひっくり返すしかないで。」 「え酔ってんの?マジで言ってんの?」 「大マジやて、どうぞ応援してくれや。」 応援って…いやいやヤバいだろ。 ニカニカ笑ってて気が付かなかったけど、結構コイツ病んでんのか?親の借金の為に芸人になるって…そりゃテレビとかだったらありそうな話だけど、成功例なんて絶対ごく僅かだろ。 それから、俺は必死になってモリテルを説得した。『なんなら俺もそういう相談所とか調べてやるから、借金の事どうにかならないか聞きに行け』とか、『芸人になって全然売れなかったらそれこそヤバイだろ。』とか…だけど、モリテルは絶対に俺の意見を聞き入れなかった。 …ていうかむしろ、しつこく迫る俺に段々イライラし始めて…結局俺達はほぼ喧嘩している状態になっていた。 「しつこいねんお前!!ええ加減にせぇ!!やってみんとどうなるか分からんやろが!!」 「自分でも言ってんじゃん、『どうなるか分からん』って。どうなるか分からない事に人生かけんのか?それより先にやるべき事あるはずだろ。」 「うるさいねん!!お前に関係無いやんけ!!もう口出すなや!!」 「嫌だね。出す。」 「なんやねんお前!!!腹たつ!!!…もうええ、お前に相談した俺がアホやったわ、帰る!」 モリテルはとうとう我慢の限界がきたのか、椅子から勢い良く立ち上がると、コートをひっ掴み、財布から出した千円を机に叩きつけ、そのまま出口へ向かおうとした。 いやいや、ムカついて帰るって子供かよ。なんなんだコイツマジ信じらんねぇ。 俺も自分のコートと荷物を引っ掴むと、モリテルの後を追って狭い通路を早足で歩いた。 他の客が『なんだなんだ?』という視線でこちらを見ている。…はぁ、勘弁して欲しい。 チビの割に早足なモリテルだが、本気を出せば簡単に追い付ける。俺はそのままモリテルに追い付くと、進行を塞ぐように彼の前に周り、揺さぶる様にその両肩を掴んだ。 顔を真っ赤にして俺を押しのけようとするモリテル……しかし、いかんせん力が弱いので全く意味が無い。 「のけやぁあ!!!なんじゃこらぁ!!!どつくぞ!!!」 「落ち着けって、お前さぁガキじゃねぇんだから。…つか、千円じゃどう考えても足りねぇし割勘。」 「じゃぁ出したるわい!!!もう千円払えばええやろが!!!離せや!!!うっといねん!!!」 「はぁ…めっちゃ注目されてるから。とりあえずもう出るか…」 ギャーギャー騒ぐモリテルを小脇で抱え、俺はレジに一万円札と伝票を投げ払った。 「すいません店員さん。お釣りいいんでこれで。すいません、どうも。」 「はなせやあああ!!!!なんやねんこらぁああ!!」 そうして…『はいはい』とモリテルの罵声を流しながら、俺は店の外へと出て行ったのだった。 「なぁ…関係無い言うとるやんけ、金も足りない分は返すし…もう帰らせろや。」 「話は終わってない。馬鹿な事すんな、考え直せ。…モリテルさぁ自分が頭悪い事すら忘れたの?まともな事言ってるって本気で思ってんの?」 「なんやお前!!!めっちゃ失礼やんけ!!!なぁ…ホンマに怒らせんといてくれん?俺めっちゃ引いとるんやん?喧嘩にならんように帰るって言ってんの分かるやろ?どっちが子供な事してる?お前やで。」 「いやお前が子供だわ。だって言ってる事めちゃくちゃだもん。俺が正しいよ。」 「も“おぉぉッ!!!!」 「いでッ…!」 居酒屋から少し歩いた路地裏。人通りが少ないここで、俺達は喧嘩の続きをしていた。だが…とうとう俺の言葉にモリテルの怒りが一線を超え、『も”ぉお』という雄叫びと共に、俺は腹をモリテルに殴られてしまった。 「お前が悪いんやでッ!!」 「……は…」 非力なパンチだったのでそこまで痛くは無いが……それでも凄く腹たつ。こっちはモリテルの事を思って言ってるのに。 そもそも成人した男が人を殴るなよ。いくらイライラしたってさ。 「テメェ!!!」 「ガァアッ!!」 俺はすぐに態勢を立て直すと、振り回す様にモリテルの肩を掴み、そのまま地面に彼を押し倒した。地面に背中を打ち付けたモリテルはジタバタともがいている。 マウントポジションは俺がとった……それだけだ。 殴りはしない。俺はモリテルとは違うのだ。ただ、俺はモリテルの両腕を地面に押さえつけて、動けない様にしてやっただけ。 「離せやあぁあッ!!!」 最初はそれでも喚き続けたモリテルだったが…段々と声に力が入らなくなっていき、最後には、悔しそうに口を噛むばかりになった。 その顔は、よくよく見ると薄っすら涙を浮かべていて…本当に悔しいのだろう。必死にこちらを見ないようにするその様子は、なんだか微笑ましく見えてしまう。 「……はぁ。」 そんなモリテルの顔を見ていると、俺の怒りは段々と静まっていった。 「なぁ…あのさ。」 そして、俺は優しくモリテルに話かける。 「なんやねん…」 「俺さ、別にお前の事を馬鹿にしたいとか否定したいとか、そういうんじゃ全然無いよ。心配なだけだし。力になりたいだけ。」 「……それが要らんねん。」 「まぁ…押し付けた俺も悪かったけど、もうちょっと考えても欲しいんだ。…お願いってヤツだよ。」 「……こんな状態でよう言えたな。」 それもそうかと、俺はゆっくりモリテルの上から退いた。モリテルはこちらに顔を隠す様にして数度目元を擦ると、無言で地面を睨みつけながら溜息をついている。 俺も、何と声を掛ければ良いかわからなくなり、その様子をただただ無言で見つめた。 ……しかし、一分も経たないうちにモリテルはすくっと立ち上がり、身体の汚れを払い始める。 「……モリテル。」 「俺も、お前を殴ったんは子供やった、それは謝るわ。…でも、我がもしつこかってんで。それについては謝ってや。」 「……」 「謝れや。何やねん。」 「…すまん。」 「ん…ほなもうええわ。痛み分けな。俺もう帰る。…まぁ、心配してくれてありがとうな。」 それだけ言い放つと、モリテルは俺に目線を合わせる事無く駅の方へと歩き出した。 …最後の『ありがとう』は多分皮肉だろう。 短い足を懸命に動かし随分と早足なモリテル。それだけ…さっさと俺から距離を取りたいのだろうか? 「なんだよ……それ。」 思わずポロリと言葉が溢れる。 あっさりし過ぎだろ。まぁ確かにこれ以上揉めるよりはって事なのかもしれないけど…モリテルはそれで良いんだ?こんな簡単に済ましちゃって良いんだ。 理不尽な不満だとは自分でも理解しているが……どうにも再び、ふつふつと胸の辺りが苦しい。 俺は惹きつけられる様に地面から立ち上がると、駆け足でモリテルの後を追った。 「あッ…」 「ッ…!!」 すると、足音に気付いたのか、モリテルが後ろを振り向かず走り出そうとした…しかし俺は『逃すまい』と思い切りモリテルの腕を掴み…そのまま力一杯に後ろを振り向かせたのだ。 「モリテーーー」 「ぐうぅッ…」 ……振り返ったアイツの顔は、涙と鼻水でグシャグシャだった。 しょぼついた目は余計に細くなっているし、噛み締めた口元は力の入れすぎで梅干しみたいになっている。『どうやったらそうなれる?』と逆に聞きたい程の不細工顔。 「なん…お前、ブッサイクだなぁ。」 「う“るさいね”んッ…な“んでまだ構うんや”ッ!!も“うほっどけや“ッ!!」 「…とにかくハンカチ貸すし、なんで泣いてんだよ?そんなに打ち付けられたの痛かった?どっかぶつけた?」 「ちゃ”う!!!!」 「じゃあどうーーー」 「く“やしいからに決ま”っとるや“んかッ!!!!な“んや”!!!馬鹿にして“んの”け!!」 汁を飛ばしながら叫ぶその姿は、引いてもおかしくないくらいの凄まじさなのに…何故か俺は口元がにやけてきてしまう。 そして…不思議と燃え上がる衝動。自分でもありえないと思いつつ…どうにも抑えられない『欲』が、俺の思考を支配してた。 キスしたい…っつうか抱きたい。 酔っ払っているからこんな考えになるのか、それとも、先程モリテルに殴られた時に衝撃で頭がおかしくなったのか。 俺は異様にモリテルに対し興奮を覚えている。 不細工で惨めで汚らしいのに、何故かモリテルが可愛く見えて仕方ない。 「ほら…」 俺はイヤイヤと顔を振るモリテルを抑え、そっとハンカチを差し出してやった。 最初は『いらん』と受け取らなかったモリテルも、根気強く俺が差し出し続けると、最終的にはそれを受け取り、思い切り鼻水をぬぐい始め出した。 「……お前ワケ分からん。何がしたいん?」 しばらくすると…震えつつも落ち着いた声でモリテルが言葉を零した。 「何がしたいって…う~ん。」 「もうええてホンマに。ハンカチはありがとう、でも、俺もう話はしたくないねん。平行線やん、メンドイねん。春野に分かってもらおうって思ってへんし、もうホンマに構わんとってくれや。」 「いや…それはもう分かったよ。無闇に否定したのは俺も悪かった。」 「じゃあ何?言うてみいや、どうして引き止めてんねん。」 「……」 「なんでだんまりやねん!何か言えや!!」 モリテルはぐずぐずと煮え切らない態度の俺にイライラしたのか、返答を急かしてくる。 何がしたい?何がしたいって…抱きたいけど。 …いやいや…まぁでも…言ってもいいか?どうせなら当たって砕けちまえば良いか。 「あ”~…」 今日このまま、コイツと離れて関係が発展するとも思えないし。 「なぁモリテル。俺さ、お前に言ってなかった事があるんだけど。」 「何?」 なんか不器用だなって自分でも思う。 「……俺、実はホモなんだよ。」 「は?え?いきなり何?」 「あーー…いや、マジでいきなりだけど。そうなんだわ。」 「えっ…なになに?なんな?どういう事?」 モリテルは完璧にパニクっているのか、無駄に手足をバタバタさせながら、目を白黒させている。 もっと分かりやすく説明してやりたいんだけど、どう表現したら良いかも分からない。 「それでさ、お前金無いだろ?」 「無いけど…えっ待って!話進めんで…」 「5万欲しい?」 「…欲しい。」 「あれさぁ…あー…抱かしてくんね?5万やるから。」 「わっかれへん、もうわかれへん…」 「やだ?」 「……」 モリテルは信じられない様なモノを見る目でこちらを見つめている…しかし、『5万』と聞かされたその瞳は、完全に欲の色を乗せているのだ。 …これはもしかしたら行けるかもしれない。 マジで気持ち悪くて嫌だったらとっくに逃げ出してるだろうし、考えこんでるだけ可能性は高い。 その後、モリテルはしばらく俯きながら『なんなんこれ…わけわからん…』と『5万…』を繰り返し呟いていたけれど…急に意を決した様に顔を上げると… 「ホテル代も春野持ちやんなぁ?」 「うん。」 「…ほな、ええで。」 俺とモリテルの交渉は成立したのだった。 「春野、先にシャワー浴びるやろ?」 「え?何で?」 「いや…俺があのーー…準備するやん?洗うやん?その後嫌やろ?」 「浣腸って事?え、よく知ってんね。何も知らないと思ってた。」 「せやろかぁ…」 ホテルに着いたのだが、モリテルは意外と落ち着き払っている。もっと緊張と恐怖でガチガチになると思っていたのに。 …何なのだろう、なんか少しだけ違和感を感じると言うか、、 「もしかして、俺の財布から金取って逃げようとしてる?」 「するかボケッ!!どんだけ信用ないねん!!」 確かにモリテルはそういう事しない。正義感とか倫理観とかの話じゃ無くて、単純に度胸が無いのだ。芯から彼はビビりだから。 …う~ん。だからこそ、何でコイツがこんなに落ち着いてるのか分からない。 俺は一応荷物をシャワールームの前に起き、身体をパパッと洗った。 乱雑に身体を拭き全裸で部屋に戻ると、モリテルはスマフォでニュースを確認していた。 「次…よろしく。」 「…春野、チンコめっちゃデカない?」 「あー、よく言われる。なに?不安」 「いや…まぁええわ。ほな、行くわ。」 モリテルは涼しい顔でシャワールームに入っていく。 俺はそんなアイツを不思議に思いながらも、ローションやらコンドームやらを用意して、ぼーっと天井を眺めていた。 「お…おう!待たせたな」 「ん、別に。」 しばらくしてシャワーからタオル一枚で出てきたモリテルは、全裸の俺と並べられた性の道具により、性的な『そういう空気』をビシビシ感じとったのか、流石に少しだけ照れている様にも見え無くは無い。 ……まぁだけど、やっぱり慌ててないし、焦ってもないのだ。 「じゃあローションかしてぇな…慣らすから。」 「うん…え、マジでなんかトントン話が進むじゃん。」 「……」 「なんか…ん~?変な感じ。」 「せやろかぁ…」 モリテルは感情を出来るだけ押し殺そうとしているのか、話半分にパッパと作業を進めていく。 「んッ…あんま見んといてぇや…恥ずかしいやんけ。」 「……」 「あっち向けやッ…ん“ッ…」 とうとう、モリテルはローションを絡めた指を尻穴に入れ、俺の目の前で慣らし始めた。 なんだなんだ…俺の願うように話が進んでるのに、凄いモヤモヤする。モリテルの小慣れてる感?それが気に入らない。 …そうだよ、おかしいだろ。何で『小慣れてる?』おかしいじゃん。もしかしてコイツ…… 「お前、経験あんの?」 「……ッ」 モリテルの肩がビクッと震える。 その様子を見ると、俺は心臓かスーーっと寒くなるよう様な感覚になった。 「なぁ。あんのか?」 「うん…」 小声で頷き小さく顔を縦に振るモリテル。絶対に目は合わせようとしない。 なんだよ…なんだよそれ、はぁ? 「なんで?どういう事?」 俺はグッとモリテルの側に寄る。だけど…コイツは気まずそうに笑うだけだ。 それが余計に腹立たしくて、俺は無理矢理モリテルの顔をこちらに向ける。 すると、流石に俺の圧に耐え切れなくなったのか、おそるおそると言った具合にモリテルは口を開いた。 「…いや、なんか…そういう人から『抱かせて』って言われる事多くて…それで、お金くれるって…だから…」 「…はぁ?」 「春野もだから、ホモって聞かされた時は驚いたけど、そういう事あったからそこまでデカイ衝撃では…まぁ同級生とっていうのはなぁ…正直、ホンマの話するとキツいねんけど。」 …俺も有象無象の中の一人って言いたいのかコイツは。 堪え切れない様な怒りを覚えた俺は、思い切りモリテルをベッドに押し倒し、馬乗りになって顔を近づけた。 「いった!…何やねん!怖いねんお前!!急な事すな!!」 「お前、ゲイなの?」 「ちゃうて…話聞いてなかったんかいな、金貰えたからゆーてるやろ…」 「……」 「もう…何やねん」 無言で見続ける俺から気まずそうにモリテルは視線をそらすと、そっと辛そうに口を小さく開き…… 「性病とかは平気やと思うけど…心配だったら…あの…」 「ッ、、!!」 「ん“ッ!!ん~~!!」 俺はモリテルの言葉を止める様にキスをした。それ以上、コイツからそんな話は聞きたくない。 舌を強引に絡め取り、貪る様に深い口付け続けると…最初は暴れていたモリテルも段々と大人しくなっていく。 そして、わざと音がなる様に少しだけ唇を吸ってからキスを止めると、モリテルは真っ赤な顔で驚いた様にこちらを見た。 「いっ…いきなり過ぎるやろ…」 「何でよ、これからセックスすんのに。」 「恥ずいねん…やっぱりその…なんやろ、あの…」 「へぇ。」 モリテルは恥ずかしそうに唇を噛み、傾けた顔からチラチラと横目でこちらを見ている。 意外にもウブな反応をするモリテルに、俺は少しだけ溜飲を下げた。 「慣れてるんじゃないの?」 「…いやなんか…今までのはもっとこうパパパって感じやったし…キスもした事あるけど…こんななんか…やっぱ春野やと調子狂うわぁ、同級生やし…」 『俺』に照れてるのか……正直、今すぐにでも抱き潰したいくらい可愛い。 けれど、もっともっとモリテルから俺に対しての言葉を引き出したい。もっともっと、俺に対しての感情を見せて欲しい。 俺は優しく宥める様にモリテルの頭から首筋を撫でると、微笑みながら問いかける。 「じゃあさ、男とヤッて気持ちいいって思った事はある?」 「それは無いわ…全然無い。」 モリテルは俺の手が擽ったいのか少しだけ首を震えさせながら、淡々とそう答えた。 へぇ…そうなのか。感じた事は無いんだな。 ニヤけ笑いを堪えながら、俺はモリテルの耳元に顔を近づけると…… 「なら、感じさせてやるよ。」 いつもより声を低くする事を心がけつつ、息を吹きかける様にその言葉を呟いた。 するとモリテルは小さく『ぁっ、、』と感じ様な声を漏らす…中々良い反応だ。 それから、俺はベッドの横にあったローションを手早く指にたらすと、あくまで探る様に優しく、優しく…ゆっくりと、モリテルの尻穴に指を挿入する。 ちなみに、もう片方の手は前の方を弄ってやるのだ。 あぁ、モリテルのペニスは皮がかなり被っている上に短小。まさにコイツっぽいペニス。 ジュポポッ、、 クチュ、クチュ、、 「あ、、そんな、金払ってるんはお前やのに、、んっ、、こんなッ、、」 「黙っとけ、、ほら、こっち、、」 「んんっ、、ふぁっ、、ンッ、ん」 喋り出したモリテルを止める様に俺はまたキスをする。モリテルは上顎を舐められるのが凄く弱い様で、そこを重点的に舐めてやるとピクピクと腰をゆらして、俺の指を締め付ける様に尻穴をキュンとさせる。…そんな反応をされるとこっちも堪らない気持ちになる。 …しかし、モリテルのペニスはもう完全に勃ち上がっているし、思ったよりあっさりとモリテルは反応してくれた。 感じた事無いとか言ってたけど、今までどんなセックスされてきたんだコイツ。 ヌポポポッ、、 「ん“あッ、、ふぅぅぁッ、、」 結構ほぐれてきたので思い切って指を二本足した。モリテルは驚いたのか唇を俺から離し、あわあわと口をパクパク喘がせる。その反応は可愛いけれど、俺はまだキスをしていたい。なので、『コラ』と一言怒った後、俺はまたモリテルの唇を奪い直した。 三本の指で尻穴をゆっくりと掻き回し探る様に撫で付ける。モリテルはキスの合間に堪え切れず喘ぎを零している。 前はもう先走りでベチョベチョだ。 ジュブッ、ジュブッ、、ジュボボッ、、ジュブッ、、 「なぁッ、、もうッ!!んぁあ、、んんっん、、はぁ、、んッ」 「、、んッ、腕、俺に捕まっとけよ、ちゅっ、、はは、目蕩けてんじゃん。んッ、、」 「んふぅううッ、 、ふゅうぅん」 キスの合間に俺がそう言うと、モリテルはギュッと俺の体に腕を回してきた。 …そしてしばらくすると、モリテルは先程よりも尻穴をヒクヒクさせ始め、必死なほど舌を絡ませ始めたのだ。まるで、俺に甘えてくるみたいに。 可愛い、早くめちゃくちゃに犯してやりたい。 けれど、ここで普通にセックスをしてしまってはいけない。もっともっとモリテルに快楽を教え、忘れられない程に溺れさせなければ。 俺はモリテルの前立腺を指で探ると、軽く摘むようにして指を振動させた。 ジュブッジュブッ!クチュクチュクチュッ!!、、 「ン“ヒィいいッ!!そこ”ぉッ!」 「暴れんなって、イイんだろここ?もっとやってやるよ。」 モリテルは背を仰け反らせ、逃げる様に腰を動かした。しかし、俺はそれを片手で押さえつけ、さらに激しく強く指を動かす。 「や“めやぁあ”ッ、、!!こわ”いぃいッ!!あかん、あ“かんてぇえッ、、あぁあッ、、やぁッ!!」 「やめねぇよ。」 「へんッ、、へん“になるッ、、!、、なんかぁくるぅうッ!!」 「へんになっちまえ。」 モリテルは顔を真っ赤にして、鼻水と涙を流しながら泣き喘いでいる。…きっと、感じた事の無い快感が怖いのだろう。 ヒクヒクキュウキュウ俺の指に絡みつく尻穴、動きに合わせてプルプル震える勃起したペニス。 自分がモリテルをこうさせているのかと思うと、ニヤケ顔が止まらなくなる。 チュクッチュクッチュクッ!!!、、 「や”あぁああッ、、あぁあッ、、もう“うだめぇえッ!!ひぃいい”いぃッッ!!」 「お、」 俺に捕まっていた腕に、モリテルはさらに力をギュッと込めると、今まで以上に身体を痙攣させ、何度も大きく腰を揺すった。 どうみても絶頂した様だが…ペニスからは何も出ていない。ピンピンに勃起したままだ。 ……という事は、もしかしてドライでイッたのか? ちなみに、足は俺の腰を挟み込む様に強くしがみつかせている。 「モリテル?」 「はぁ、、はぁ、、あ、ぁ、はるのぉ、、」 「ははは、すっごい才能あるね。エッロ」 トロんとした甘い眼つきに、ピクピク動く腰。どうやら本当にドライでイッた様だ。 これは、かなり期待出来るかもしれない。 「っ、、はぁはぁ、、あぁ、、、はぁッ、 、もぉややぁ、、」 「はは、すっげ。」 それから、俺はモリテルを射精させずにドライで3回、射精ありで2回ほどイかせた。馬鹿らしいがちゃんと数えた。 モリテルはもう快楽にトロトロになっている。最後の一回なんて耳元で『イケ』と俺が呟いただけで身体を痙攣させていたくらいなのだ。 「大丈夫かよ。」 「ヒンッッ、、」 俺は泣きながらクテッと横たわるモリテルの頬を優しく撫でる。すると、イッたばかりでそれすらも感じるのか、モリテルはピクリと顔を動かし軽く声をあげた。 ……そろそろ挿入れるか… ってか、もう我慢の限界だわ。 興奮が限界に達した俺は、モリテルの尻を掴むと、自分のモノを急速に穴にあてがった。 「もう挿れる。」 「まっ、、まって、、」 「無理。」 モリテルの静止など聞かずに挿入。 ジュポポポポポッッ!!! 「ッッ!!お“ぅうあぁあッんんン”ッ!!!」 「フンッ、、フンッ」 「ま“っでッ!!あ”あぁあッ!!や“あぁアッツ!!ひぃい”ッ!」 モリテルは鼻水を垂らした泣き顔を必死に横に振り、静止する様に言ってくる、きっと散々俺にイカされ、さっきもイッたばかりの内壁をチンコで責められたまらないのだろう…しかし、俺はさらに動きを加速させ、少しでも逃さないとばかりにモリテルの腰をガッツリと掴み、犯す。 ジュパンッ!ジュパンッ!ジュパンッ!ッ 「あ“ッあ”ッあぁあッ“おぉ”っ」 「はは、ブッサイク!!!」 「ややぁ“もういや”やぁッツ!!」 どんどん歪んでいくモリテルの顔は、普通だったら見てられないほど汚いはずなのに。何故か俺は凄く興奮してしまう。 …それにどうしてか、可愛いとさえも思ってしまうのだ。 「ッ、、、モリテル、、」 「ッ!?ふぁあッ!、、や”ヒィぃい“ッ!!」 俺はモリテルの腰を少し持ち上げると、結腸に届くほどみっちりと腰を押し付ける。 ジュポッ、グリュッグリュッ、、 「そ”れぇッッ!!あ“かんッッそこばっかわ”ぁあッッそこや“めぇッッ!!」 「いいんだろ、、ほら、ほらッ、、!」 「ん”んひぃいッ“!」 抜き差しするのでは無く、奥をこねくり回すように腰をグラインドさせる。すると、モリテルはさらに身体を痙攣させ始めた。 最奥…本来ならば挿入ってはいけない場所を、同じ雄のチンポで捏ねくりまわされ舌を突き出し快感に喘ぐモリテル。 尻の中は食らいつく様に俺のペニスを締め付け、まるで、絶対に離すまいとしているみたいだ。 過ぎた快感が怖いのか、動きを止めようとしているが…その、足で俺の腰をぎゅーっと挟む仕草も…逆になんだか甘えられている様に感じられて… 「ッ、モリテル、、」 正直、その反応が俺をさらに興奮させる。 グリュッ、グリュッ、!グリュッ、グリュッ、!! 「あぁ“ひぃいッいぃ”アッアッ“」 小さなペニスを振りながら、哀れにも男に犯されるコイツ。 今まで抱いたやつの中で一番ブサイクなのに、一番心が満たされていく。 「……ほら、前弄ってやるよっ」 「んん”あぁッ、!」 本当は『自分で弄れ』って命令してやろうかと思ったけど…まぁ、あんまり意地悪言うのもなんか違うし。 ラストスパートで腰を激しく動かしながらモリテルのペニスを扱いてやると、コイツはすぐに射精を迎えた。 3回目の射精なので精子はかなり少ないが…雌イキの方は相当大きく絶頂したみたいだ、腰を何度も魚の様にピクピクさせている。 チョロチョロチョロ、、、 「ヒィいぃい“ッ、、あぁあっ、、はぁあ、、はぁ、」 「あー、、いっけないんだ。」 モリテルは本当に限界ギリギリだった様で、小さなペニスの先からチョロチョロとおしっこを漏らし始めた。 完全に屈服させてやったって感じで、俺の満足感は半端ない… 「あ“ぁ、、へぇ、、みにゃい、、でぇ、、」 ……う~ん。結構辛そう。 俺はまだだけど、少し待ってやるか。 「はぁ、、やぁぁ、、ゃあ、、はるのぉ、、」 「ッ、、」 だけど…ビクンッビクンッと身体を跳ねさせながら、トロんとした目で俺を見つめてくるモリテルは、ひどく弱々しく幼げで…… 「……」 「ひぅッッ!?やぁ”あぁッ!!やっ、、まってぇ“ぇッ、、」 「まだ俺イッてないじゃん。」 待ってやろうかと思っていた気持ちはどこか遠くに飛び、気が付いたら、俺は律動を再開させていたのだった。 「ん、、あ?なんだ。」 ハッとして目を覚ますと。モリテルが居なくなっていた。 行為が終わった後、疲れ切ったモリテルはそのまま気を失う様に眠っていた。 俺も、簡単にシャワーを浴びた後、そんなモリテルの寝顔をしばらく眺め、溢れんばかりの充足感に包まれながら彼をキュッと抱きしめ目を閉じた。 ……その筈だったのだが。 「モリテル?」 けれど、横に眠っていた筈のモリテルが居ないのだ。 奇妙な程の焦燥感と不安感に、寝起きの靄が掛かった思考も一瞬で冴えてしまった。 モリテルを探そうとベッドから這い出す様に身体を動かす。 「ふざけんな…くそ…ゆるさねぇ…」 アイツ、俺とそこまで関わりたくねぇのか。あんだけ抱かれて喘いでた癖に。 俺は焦りと怒りで足をもつれさせながら服をひっ掴み、部屋の中央に立った。 どこに行った?……取り敢えずスマフォで電話して、それから…… 「ッチ。」 なんなんだアイツマジで。 これっきりなんて誰がさせるか、絶対ただじゃおかねぇ。 俺はイライラを抑えきれず舌打ちをしながら、スマフォを手に取った。 ……しかし… ガチャッ… 「あ“?」 「えっ?」 キョトンとした顔で、モリテルがシャワールームから顔を出したのだ。 「え?なに?…なんかキレてる?」 「あ…いやー、別に。」 モリテルは訝しげに俺を見ながら服を着始める。 消えたというのは俺の勘違いで、ただ単にシャワーを浴びていただけだった様だ。 「……」 …なんか、妙に恥ずかしい。凄く自分が馬鹿みたいだ。 よくよく考えれば当然の事だし、何であんなに俺は焦ってしまったのか。 「……あー、えっと。何でもない。」 「え…ならまぁ、ええんやけど。」 変な空気が部屋に流れる。 モリテルは俺が『怒ってない』と返事をすると、そのまま一切こちらを見なくなった。 俯いた表情もどこか気まずそうだ。しかも、ズボンを履く手はよく見ると震えているし、何かに耐える様に唇を噛み締めている。 「……」 どうしよう。何て声をかけたら良いんだ。 俺はモリテルを見ながら、自分も服に腕を通しつつ悶々と頭を回転させていた。 『気持ちよかった?』とか、『凄い喘いでたな!』とか……それはちょっとキモいか。 『急に変な事してゴメン』も、『お尻大丈夫だった?』も…なんだかな。 「ぁー…えっとぉ…」 なんか…なんか言う事無いかな。……あ、そういえば。 「モリテル、あの…5万。」 そうだった、俺はそもそもモリテルに金を払って抱くっていう約束をしていたのだ。 俺が急に声をかけると、モリテルはビクッと肩を跳ねさせ、凄く分りやすい作り笑いをして、こっちに顔を向けた。 「あ、せやせや…忘れるところやった。あの…ありがとう。」 「うん。えっと、これ。…はい」 「ん…」 モリテルはお金を受け取ると、嬉しそうにそれを見つめる。 …なんかムカつく。お金払ったのは別に良いんだけど、その笑顔は俺に向けろよ。さっきまで俯いてた癖に。 「……」 「……」 それからしばらく、またお互いに無言になった。 モリテルはたまにこちらをチラ見したり、指をコソコソ動かしフラフラ動いたり、妙にそわそわしている。 なんだコイツ……金貰ったしさっさと帰りてぇのかな? いや、まぁ…そういう約束だったけどさ。なんかスゲェ腹たつ。 「ッ、おい。」 「なっ、なにッ?」 俺は思わずモリテルに駆け寄ると、ビビってるアイツの肩を掴む。 …何か考えているわけではない。だが、勝手に身体が動いたのだ。 「なんやねん…怖いねんけど。」 「……」 「なんか言えや…」 ずっと見つめられて視線が辛いのか、モリテルは顔を真っ赤にして苦しそうな顔をしている。 そんなモリテルの様子を見ていると…俺は自分の感情が変化していく事に気が付いた。 怒りとかそういうんじゃない……肩を掴んだ時は完全に怒りの感情だったけど。 「…あ。」 何故か、その泣きそうな小さな目や不安そうに握られた手を見ていると、なんだか凄く…凄く…… 「んっ、、」 「ふぅっ、、!」 気が付いたら俺はモリテルにキスをしていた。 「なっ、、やめっ、、ふぅうッ、、ん、」 「んっ、、やだ。、、んっ、」 突然の事に動揺しているのか逃げようとして顔をずらすモリテルの顎を掴むと、俺はより深く舌を絡ませる。 最初は腕をバタつかせ逃げようと必死だったモリテルだったが、時間が経つにつれ抵抗する力が抜けていき…逆に、縋る様に俺の服を握ってきた。 すげぇ可愛い。なんだその仕草… 俺は顎を掴むのと反対の空いている手で優しくモリテルの頭を撫でた。すると、アイツは『ふぅッ』と高い声を漏らし、キュ~~っと俺の腰に腕を回すと、抱きつく様に身体を密着させてきた。 ……まるでその動きは、俺に甘えてくる様に感じられて… 「ッ、、」 ダメだ、限界。このまま、もう一回抱こう。 俺はキスを続けながら、モリテルをズイズイとベッドの方に押した。 「んっ、、はぁ。モリテルッ、、!」 「やっ、、あかんてッ、」 「良いだろ、、お前もまんざらじゃなねぇみてぇだしッ、」 「そッ、、ちゃうっ!」 口を離して見つめたモリテルの顔は、先程よりもさらに真っ赤で、そのまま燃えてしまいそうな程だった。 少し涙が溢れているその瞳は嫌悪では無く、どこからどう見ても発情している様にしか見えない。 「なにが違うんだよッ、ほら、ッ、、」 「もっ、、離せやッ!そろそろ時間やっちゅうの!!」 「……はぁ?」 「時間見ろや、チャックアウト後15分!」 「……」 そう言われてチラッと時計を見ると、確かにもうそんな時間だ。 …なんだよコイツ。変な所で冷静だな。 俺は自分だけが熱くなっていたみたいな気分になって、ちょっとだけ腹が立った。 「はよ行こうや…お前、今日は大学ある言うとったやんけ。俺も1時間後にはバイト行かなあかんねん。」 「…どうせ授業は遅刻だよ。」 「途中から行ったらよろしやん!てか、どっちにしろもう出なあかんねん!早く荷物まとめて来いや!!」 さっきまで俺に抱きついて居た事なんてまるで無かったかの様に、真剣な口調でそんな事を言うモリテル。 俺はフツフツとした煮え切らない感情を抱えたまま、取り敢えずは頷いて荷物をまとめ始めた。 「ほな…俺は電車こっちやから。」 「……」 駅の構内、乗る方向が別々の俺達はもう別れようとしていた。 ホテルから出て駅まで歩いている途中は無言。…いや、厳密に言うと、モリテルは何度か会話を振ってくれたのだけど、俺が何て喋れば良いか分からなかったのだ。 「なぁて、春野。」 周りはガヤガヤ、沢山の人でごった返している。 サラリーマンや大学生っぽい集団。家族連れやカップル……俺達は一体なんなんだろう。 「なぁ…挨拶くらいちゃんとしようや…」 「……」 「なんで無言やねん…怒っとんのか。」 「違う。」 「わけわからん…なぁ、俺もう行くで……」 呆れた口調で眉をひそめたモリテルが、手を軽くフラフラさせながら、自分が乗る電車のホームを見つめた。 …俺を置いてさっさと行かないのは、意外に律儀な性格のモリテルだから、挨拶くらいちゃんとして別れたいからだろうか? 「…じゃあな。」 俺は仕方なく、モリテルが求めているであろう言葉を投げる。 「……わかった…」 …わかったてなんだよ。 俺が別れの言葉を告げると、モリテルは少しだけモジモジとその場で足踏みをした後、ゆっくりと俺に背を向けて歩き出した。 『じゃあな』は違かったのか?何て言えば良かったんだ。 「モリテル…」 せっかく一夜を共にしたのに、こんな呆気ない感じで終わり。 なんでこんなにモヤモヤするんだろう……別に、ワンナイトだけの付き合いなんて今まで何回もあったじゃないか。 …モリテルがどんどん離れて行く。その距離につれ、俺の胸が冷たく不安に揺れる。 「…嫌だ。」 嫌だ嫌だ。 理由何て分からないけど、こんな風に終わるのは嫌だ。 アイツと…このまま離れるのは嫌だ。 「ッ…」 何故か泣きそうなほどにキリキリ痛む胸を抑え、俺は崩れる様に走り出した。 「モリテルッ!!」 もう、そこそこ遠くに歩いて行ったモリテルに走り寄り、勢い良くその肩を両手で掴む。 周りの人達は、俺の行動を何事かと興味深そうに見ている。 なんか、俺はコイツの後ろ姿掴んでばっかだな。 「……」 けれど何故か、モリテルはあんなビビリの癖に、少し肩をビクつかせただけで声も上げない。 『ぎゃー!』とか、『なんやねん!』とか、『驚かせんなや!』とか、そういう風になると思っていたのに。 「なぁ…モリテル…あの…」 「……」 「俺…あ、えっと…」 「…なに?なんやの…」 モリテルの声は固く、静かだ。 顔見てないから分からない。もしかしたら怒っているのか?めんどくさいと思っているのか? 「あーえっと…あの…」 不安と焦りでぐちゃぐちゃになった俺は、どうにか『それらしい』呼び止めた理由を考える。 「えっとさ…あー、なんか、結構良い感じだったし……お前金も困ってるみたいだしさ…これからもたまに抱かせろよ、金はやるからさ。」 「……」 「良いだろ?お前も別に嫌じゃないだろう?…変な相手よりは良いじゃん。な?」 モリテルはしばらくそのまま無言だった。 けれど、急にコクっと頭を上下に振ると『ええよ』と一言、こちらを見ないで呟いた。 「……」 おかしい……頷いてくれた事は嬉しかったのに、何故か胸がモヤモヤして不愉快だ。 なんでだろう?…どうやって、なんと言って、どんな風になれば、俺は満足したのだろうか? 「ほな…今度こそさよなら。」 「う、うん。…また、こっちから連絡する。」 「…待ってるわ。」 そして結局、一度もこちらを見ないまま歩き出すモリテル。 俺はそんなアイツの後ろ姿を、壁の陰に隠れて見えなくなるまで、ずーっと眺めて居た。 「モリテル…」 何故か止まらない自分への怒りを、やり切れなく抱えたまま。 終わり。
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