【シーズン1】 ホームタウンオブザデッド

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そう僕が大鷹さんに提案した時、もちろん彼女は無表情に近い気怠げな表情を浮かべながら反対意見の限りを唱えた。 「漫画を探しに行くですって?」 「こんなご時世に?」 「冗談も程々にして下さいよ」 「妹さんの頼み? 断って下さい」 「漫画の為に命がけで外に出るなんて馬鹿馬鹿し過ぎます」 僕の反論の余地を奪い去るかのような、全てごもっともな意見である。 妹の頼みなど断ればそれで終わりだし、なにも漫画一冊の為に命をかけるなんて聞いた事がない。 ——だが、最早そんな事は僕にとってもう問題ではないのだ。  ここでもし妹の頼みを断ってしまえば、あの子のことだ。
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