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「◯月×日。
なんかあのクソ人間二人が扉の外で騒いでる。
命乞いにでもしに来たのかな?
今から『子供の助けをないがしろにした』子ども教育センターを先ずは訴えるところだったのに。
…………なんだって? 『ゾンビがでた』?
おいおい、今日はエイプリルフールじゃないんだけど。
でも声がなんだか必死そうだ。
もう、本当に仕方がないな。部屋から一瞬だけ出てやるか。
一瞬だけだぞ? ウソついてごめんと謝ったら許してやる。
そして焼き殺した息子達を新しく買い直すこと!
分かった!? 」
…………ここで日記は終わっていた。
結局、子ども教育センターは動いてくれず、彼は部屋から出て、ゾンビの事態を知って両親と逃げたようだ。
無事逃れたのは不幸中の幸いだったけれど……。
「ラブロマに関する記述はなしか……」
もはやクセにもなりつつある今日8度目のため息を僕は長々とついた。
用済みとなった日記帳を近くのベッドへ雑に放り投げ、ラブロマ捜索の続きを再開させる——そのつもりだったのだが。
ベッドに放り投げ、こちらに持ち主の名前が書かれた裏面を向けた日記帳に、不意に目を奪われてしまった。
(何処かで見たような名前だ……)
これがデジャヴ、という現象なのだろうか。
ふと脳裏にその日記帳に書かれた持ち主の名が引っ掛かる。
どこかで見たような……。
確かにどこかで…………。
「桐島くん桐島くん。 喜んで下さい。
ラブロマの10巻、戸棚にありました」
その時、リビングの方からやや興奮気味な大鷹さんの声が飛び込んできた。
「……えっ!? ホントですか!?」
僕は喜びのあまり、思わず日記帳を再びベッドの方へと放り投げてしまう。
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