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僕は慌てて上半身だけを起こしてソファーの方を目を向ける。
そこに寝ていたのはもう1人の同居人である美女、大鷹紗栄子だ。
僕の両眼がその時、自然と上へつり上がっていくのを感じた。
もちろん、怒りでだ。
(自分がソファーで寝たいが為に、眠っている僕の体を床へ引きずり落としたんだな。
昨日、公正なじゃんけんで決めたばかりなのに。
この人は…………)
スヤスヤと眠っている彼女の顔に思い切り水をかけてやりたい欲求に僕は駆られたが、残っていた理性でなんとか踏みとどまった。
そんな事をすれば、ソファーも濡れる。
唯一の憩い場を一時の怒りに身を任せて汚して仕舞えば、それこそ本末転倒だ。
冷静になれ。 冷静になれ、桐嶋敬。
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