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「これは最後に鍵をかける人しか出来ないからだ。他の人が鍵をかけたら犯人は部室に入れない。細工をするにはどうしても施錠役にならなくてはならないからな」
「…開いたのは、鍵が悪くなってたからだと思います」
「俺が見たところ、特別鍵に異常はなかった。仮にそうだったとしても、部外者がピッタリ閉じられた女子部室に入ろうと思うか?」
「そんなのわからないじゃないですか」
井上が言い返す。
「…なぁ井上、今ならまだ大ごとにはならない。もしも本当はお前がやったなら満島に謝って─」
「やってないって、言ってるじゃないですか!」
井上はそう言うと、勢い良く立ち上がった。
「なんでそんなこと言うんですか!私だって思いましたよ!絶対私が疑われるんだろうって!でも仕方ないじゃないですか!本当に知らないんですもん!」
彼女の目からポロポロと涙が溢れる。
「なっ、ちょ、わ、悪い悪い!悪かったから落ち着いてくれ!」
佐保は思わずついさっきまで疑っていた少女を慰める。
結局井上は泣き止まず、それ以上は詳しい話を聞くことができなかった。
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