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後日談
結局、事件の犯人は分からずじまいであった。やはり、学校内で起きた事件を解決することは厳しいものがある。佐保が学生だった時分に起きた盗難事件も、結局は未解決で終わっていた。
佐保は今でも井上が怪しいとは思っているが、確かにたまたま鍵の調子が悪く、最終確認をした後何かの拍子に外れてしまったということも有り得る。それに、事件があった日にトイレに行っただけで犯人扱いするのも、我ながら酷いものだったと今更ながら思う。
犯人探しが失敗に終わった以上佐保ができることと言えば、精々鍵の管理方法を新しくして、戸の鍵を新しくすることくらいだろう。
あとは…部に新しいホウキを配備することか。
あのホウキを見て津川が酷く動揺していたのは、本当にただ報告遅れを悔いていただけだった。てっきり事件に関与しているのかと思ったが…まぁそんなものか。
「はぁ〜あ」
一人きりの体育教官室で佐保はため息をついた。もう二度とこんなことがありませんように…。彼がそう思いながらコーヒーを啜った時、部屋のドアが開いた。
「失礼します、佐保先生!女子バスケ部のウェアが盗まれました!」
佐保は、来年は顧問を辞めさせてもらおうと思った。
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