チグリジア

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「こっちには毎年、仕事の関係も含めて来ているんだ。プライベートが主だけど仕事も含んでるから、一人いる弟以外とでは一人で来る事にしてる」 俺と過ごしているという事は仕事の方は終わったのだろう。だが、弟がいる事には驚いた。なんとなく一人っ子のような気がしていたからだ。 俺は一人っ子だった為、兄弟がいる家庭は漠然としたイメージしかなく興味が湧く。 「弟がいるってどんな感じなんだ?俺は一人っ子だからわからない」 「歳が離れてるから可愛いよ。兄弟だからお互いの事は理解してるから良き親友ってとこかな。喧嘩もした事ない」 「仲が良いんだな」 穏やかな様子には歳の離れた弟への愛情が見て取れて、本当に仲が良いのだろう。少し羨ましいと思う。 俺にも玲慧のように弟がいれば、今の事も相談できたのだろうか。そう考えるがすぐに、自分の両親で置き換えて想像してみて、肉親相手では相談できる気もしないと結論に至る。 両親には自分がゲイである事は告白していなかった。しようと思った時は、あった。だが、パートナーシップを結んでからいう考えは、現実になる前に捨てられた事で夢に終わった。 すると、ジリジリと胸を焼く感情に苛立ちながら、蓋をするように話しを続ける。
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