チグリジア

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「仕事は何をやってるんだ?俺は下請けの小さな会社員」 質問ばかりでは良くないと思い、自分の事も混ぜて話す。 「サービス業だよ。たまに海外出張したり。それよりさ、斯乃は休日とか何してるの?好きな物は?斯乃の事を教えてよ」 「休日は……映画観たり、たまに気が向いたりしたら本読んでる、くらいだな。家で過ごす事が多い」 昔からインドア派で、用事がない限りは外出はあまりしない質だ。社会人になって会社員になってからは尚更だった。 アウトドア派の体育系の人間は尊敬するが、自分がそうなりたいかと考えると即答でならなくていいと答える。 玲慧は体育会系の人間には見えないが、アウトドアなイメージだ。 「好きなのは、海鮮かな」 「俺も好きだよ。お寿司とか美味しいよね。そうだ、夜は外食にしようよ。おすすめの海鮮料理店知ってるよ」 「わかった。じゃあ頼む。そういえば、ここは詳しいんだよな?色々と案内してくれないか?どうせなら回ってみたい」 普段なら面倒の一言で済ませる外出だが、経緯はどうであれ旅行だ。仕事が関係なく県外で羽根を伸ばすという社会人では中々難しい貴重な機会を生かさないのは流石に勿体ない。 快く頷いてくれた玲慧に観光巡りのプランは任せる事にし、それから程なくして届けられた豪勢な食事を堪能した。 腹を満たし、ホテルを出た。タクシーで移動する。
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