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……悪夢を見ているのか、と本気で思った。いや、ホントにマジで。意識が飛びかけたよ、私。
だってさ。今、私がいる家の名前を聞いたら唖然とするじゃん?
イリーニアだよ? イリーニア伯爵家
【貴女のナイトは何色ですか?】
ってキャッチフレーズの【カラーオブナイト】とかいうよく分からない英語の少女マンガの攻略対象の家名が、イリーニアなんだよ! ねぇ、信じられる? 私は信じたくない。誰か嘘だと言ってくれ。あ、コレ夢か。うんうん、そうだよね。
現実逃避している場合じゃなかった。侍女が私をテキパキと着替えさせてくれている。……どうやら夢オチにはなってくれないらしい。ヤダー。夢が良いよ。っていうかさ。姿見を見ると現在の私、3〜5歳ってところかなぁ。
さっき侍女が言ってたんだよね。
「お嬢様。本日はこのイリーニア伯爵家に養子が参ります」
って。それで、脳内パニックになったんだけどさぁ。そして、その拍子に前世を思い出したんだけどさぁ。ちなみに、元々身体が弱い私は、ここで倒れたり熱を出したりしても、いつもの事だと思われるだけ。……倒れて良くない? 実際頭が凄く痛い。ガンガンするし。
侍女が「さぁ、出来ましたよ!」と満足そうに頷いたのと同時に、私は意識を失った。……痛みが限界だったんだと思う。「お嬢様っ!」と薄れゆく意識の中で侍女が叫んでいた。
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