三年振りのワンコ

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三年振りのワンコ

ジャンケンで決まった男子委員の飯田と二人で 体育祭の選手決めの仕切りをすることになった クラスのリーダー的存在の飯田のお陰で 和やかな雰囲気のまま 全ての選手が決まり 長かったHRが終わった 「二人は今日の放課後、実行委員会があるからな」 担任が教室から出ようとしたタイミングで振り返った 「ゲッ」 「お〜、そうか雨宮、手繋いで行くか?」 「は?」 「二人共、頼んだぞ」 「は〜〜い」 軽い返事の飯田にイラっとしながらも 結局 放課後、知夏に手を振って 飯田と二人で会場である教室へと向かった 「委員会ってかったるいなぁ」 文句を言いながらダルそうにあるく飯田 「じゃあなんでジャンケンしたのよ」 委員にならなければ かったるい思いもしなくて済んだのに そう思った私の隣を歩きながら 「雨宮と一緒に居たいんだから〜」 緩い返事をした 「またそれ?しつこいわね」 呆れながらチラッと見上げると 「一途って言えよ」 少し拗ねた飯田が珍しく真剣な顔をした 「ば、馬鹿じゃないっ」 何かと言えば“好き”と“付き合おう”を連発してくる飯田 あまりに言われ過ぎて とっくに慣れてしまった それもこれも軽い喋りの飯田だから 躱せることなのに 真面目に答えるなんて想定外だ 居心地悪い雰囲気を壊すように 早足で飯田との距離を開けた
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