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三年前、男子バスケット部に入ってきた新入部員の中に居た小さくて可愛いワンコが涼太だった
女子バスケット部と顧問が兼任だったこともあり
練習始めのアップは男女一緒にトレーニングしていたから
関わることも多かった
あの頃も天然パーマの髪は
フワフワの触り心地が抜群で
いつもいつも撫で回していた
160センチの私が見下ろすくらい
小さかった涼太を思い出して
目の前の涼太を見上げれば
やっぱり得意顔の涼太が
ニコニコと笑っている
「涼太じゃないみたい」
「え〜っ、俺っす、涼太っす」
戯けながら自分を指差して
「179センチになったから
あと少し伸ばしますよ」
「えーーーっ、つまんない」
「え?なんでですか?」
「だって・・頭撫でらんないじゃん」
完璧私の都合なんだけど
小さくて可愛い後輩『涼太』が
居なくなった喪失感が声になった
「撫でてくださいよっ
大きくたって撫でられたいですっ」
そう言った途端に蹲み込んだ涼太は
図らずも私を見上げる体制になり
あの頃から十分可愛かった顔も
ガッチリした肩幅と少し大人びた顔つきになっていて
なんだか急に恥ずかしくなって
頬に熱が集まるのが分かった
・・・どうしよう
「え?眞子先輩?」
鳩豆顔で固まる涼太に向けて
熱くなる頬を誤魔化すように
「涼太〜〜大きくなりやがって〜」
フワフワの髪をワシャワシャと撫で回した
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