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「だ、大丈夫だからっ」
慌てて後退りすると
エントランスの階段に足を取られて
バランスが崩れた
「キャ」
転ぶ!!・・・と思った瞬間
強い力に引き寄せられて
温かなものに包まれる
どうなったの・・・?
そう思った私の頭の上から聞こえた声は涼太の声だった
「危なかった」
・・・え?
「・・・っ」
温かな感触が涼太に抱きしめられているからだと認識するのに
時間がかかった
「眞子先輩、そそっかしい」
そう言ってクスッと笑った涼太は
少し離れると頭の上に手を置いて私の顔を覗き込むと
「顔、真っ赤」
そう言って目を細めた後で
頭をポンポンと撫でた
・・・ヤバイ
顔が・・・熱いっ・・・なんで?
てか、心臓壊れそうなんですけど
胸に手を当てると
真っ赤な顔を隠すように俯いた
「眞子先輩?」
「ダメ」
「ん?」
「ダメダメダメダメダメダメッ」
頭を振って涼太から離れた
「眞子先輩?」
「ち、近すぎるんだからねっ
離れなさいっ!涼太の癖に生意気よ」
そこから逃げるように走り出すと
バス停まで振り返ることはなかった
どう考えても行き先が同じなのに
無駄な抵抗にも気付かず
振り切ったつもりの私の後ろに
「眞子先輩、走ったら危ないですよ」
涼しい顔の涼太が並んだ
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