プロローグ

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「ヤッタ」 クラス発表の掲示板の前で 知夏とガッツポーズ 「小学校一年生の時以外 全部同じクラスって凄くない?」 「凄い」 興奮した知夏と昇降口まで歩きながら ラスト一年となった桐葉第一高校の校舎を眺める 「此処も最後だね」 学校とは思えない外観は イギリスのバロック建築を模した造りらしく それに見合うイングリッシュガーデンは 春の花が咲き乱れている 桐葉学園は広大な敷地の中に 幼稚園から大学までが程よい距離を保って建っている スクールバスは敷地内にもバス停がいくつもあって校舎前まで運んでくれるから便利だし 学園内だけを走るループバスは イベントや部活動、交流会等に役立っている 「眞子、行くよっ」 「・・・うん」 大勢の生徒の波に飲まれるように 新しいクラスまでたどり着いた 「「「おはよう」」」 転入生でも来ない限り変わることのない何となく見知った顔ぶれに挨拶が飛び交う 出席番号順の席に鞄を置くと 「雨宮〜、これで遂に運命の赤い毛糸並みの腐れ縁だな」 そう言って白い歯を見せて笑ったのは 親友の知夏を上回って ずっと同じクラス、ずっと出席番号が私の一つ後ろの飯田元輝(いいだもとき) 「なによ、赤い毛糸って」 馬鹿過ぎて“糸”だと説明する気にもならなかったのに 「赤い糸より太いだろ? そりゃもう毛糸だろ〜それ」 ケラケラと笑う飯田見ているだけで なんだか肩の力が抜けてくる 「勝手に結ばないで」 笑いを堪えて見えない赤い毛糸を人差し指と中指で模したハサミで切る真似をすると 「雨宮〜、そりゃないぜ〜」 飯田は大袈裟に両手を上げた
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