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背中に回された手に
ガッチリとホールドされて
否応無しに意識が集中する
カーーーーーーーッと全身の熱が表面に出てきたように火照り始め
きっと耳まで赤くなってるに違いない
離れなきゃって思うのに
さっきより車内は混んでいて
更に
「眞子、キツイから学校までそのままでいてね」
背後から悪魔の囁きが聞こえた
クーーーーーーーーーッ
鼻血が出そうなんですけどっ
てか
涼太ってエナメルバッグと私の鞄を持って
空いた手は私を支えるために背中に回っていて
さっきから何度もバスは揺れるのに
安定感抜群の腕の中は居心地が良いとさえ思ってしまう
「涼太、平気?」
勇気を出して口にしてみたけれど
ネクタイから視線は外せない
そんな私に
「心配しなくて大丈夫ですよ
眞子先輩は俺に寄りかかっていて」
涼太は優しく答えた
・・・トクン
・・・・・・トクン
・・・・・・・・・トクン
意識しないように頑張っているはずなのに
抱きしめられている感触と
涼太から匂うシトラスの香りが私の邪魔をして
学校へ着くまでの間
煩い心臓は動きを緩めてはくれなかった
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