朝も昼も夕方もワンコ

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結局・・・ 飯田に急かされてお弁当を食べた私は 涼太をベンチに残して教室へと戻った 『またね』って声を掛けたのに 俯いたままの涼太は返事をしてくれなくて お昼からの授業の間中 涼太のことばかり考えてしまった 「飯田、邪魔するんじゃないわよ」 珍しく知夏が飯田に怒っていて 頭ごなしに叱られた飯田はバツの悪そうな顔をした それより、やっぱり気になるのは涼太のことで 放課後・・・顔を見に行こうかなと思っていたところに 「眞子先輩、帰りましょ〜」 いつも通りに復活した涼太が 教室内まで入ってきた 「おいっ、お前、一年坊主のくせに 先輩のクラスに断りもなく入ってくんなよ」 いち早く反応したのは 何故か飯田で それもまた理不尽な物言いに 「アンタ!いい加減にして!」 知夏が噛みついた 「ちょ、待って、なんで揉めるの?」 喧嘩になりそうな雰囲気に焦る それなのに 「揉めてませんよ?」 「揉めてなんかない!」 涼太も飯田もそれを否定して お互いが他所を向いた 「眞子先輩、帰りましょ」 「あ、うん・・・でも」 変な火種になるなら いつも通り知夏と帰ったほうが良いかもしれない そう思った私の手を サッと繋いだ涼太は 「約束したでしょ?眞子先輩 登下校もお昼も全部一緒です!」 言い終えるとニッコリ笑った 「・・・え?」 そんな約束した・・・かな? 首を傾げた時には 既に教室から連れ出された後で 「ちょ、ちょっと涼太?」 繋がれた手に引かれて 下校の波に乗っていた
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