プロローグ

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小学校一年生以外 出席番号は知夏が一番、私が二番 そして飯田が三番 大学では出席番号なんてないだろうから 番号が付くのも最後だろう 廊下側の二番目の席に座ると あまりの寒さにブレザーのポケットに両手を突っ込んだ 「寒い」 ポツリと溢した声に反応するように 前の席の知夏が振り返る 「毎度毎度、廊下側から一番にしなくて良くない?」 渋い顔の知夏が言いたいことは分かる 今日みたいに天気の良い日は 窓際の席に限る だってね? 同じ教室でも体感温度が違う今の季節って どれだけアピールしても暖房のスイッチを入れては貰えないから 「雨宮、なに?寒いのか?」 背中に打つかる飯田の声に 少しだけ振り返ってみたら 「ほら、やるよ」 ニカッと笑った飯田の手の上には 思わず手を伸ばしてしまいそうになる [カイロ]が乗っていた 「いいよ、飯田も寒いでしょ?」 「いーんだよっ、俺様は強いからな」 いやいや、寒がりの私でも持ってきてなかったカイロを持ってる時点で 既にポンコツ決定なのだ 「ほら、やるって」 あまりにもしつこいから 仕方なく(ありがたく)受け取った ひゃーあったかい カイロを考えた人、ありがとう 一生買い続けるって誓うよ 大袈裟な脳内に頷きながら 凍りそうな手に感覚が戻るのを待った
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