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「・・・で?」
放課後、駅前広場でスクールバスを降りて直ぐ私の腕を掴んだ知夏を見る
「・・・?」
「さっきの」
何故か蘭々とした知夏の目を見て
『で?』の意味がわかった
「あ〜」
「ひとまず急ごっ」
「え、キャッ」
腕を掴んだまま走り出した知夏に
強引に連れ込まれたカラオケルーム
リモコンとマイクはソファに置いたまま
向かいに座る知夏は
「さ〜、吐いてもらおうか」
好奇心たっぷりの顔で笑った
知夏が聞きたいのは
スクールバスに並んでる時に声をかけてきた男子生徒のことで
言うまでカラオケが始まらない気がして諦めた
「二年の近藤君」
「あの子二年だったんだ〜、で?」
「告られた」
「進級早々やりますね〜、で?」
「断った」
「・・・は?なんでよっ」
「なんでって・・・知らない人だし
気持ち悪いじゃん」
「眞子っ!知らないのは当たり前!
付き合いながら知っていくって方法もあるの知ってる?
それに、気持ち悪いってなによ!
めちゃくちゃ爽やかイケメンだったじゃないっ
そんな石橋を叩き割るよーなことしてるから17年も彼氏ができないのよ」
さっきまでと違って呆れた顔で
一気に言葉を並べる知夏は大袈裟なため息を吐いた
「だって・・・」
中学に進級した頃から
呼び出されて告白されることがある
“一目惚れ”とか“可愛いから付き合って”とか
一度も喋ったことのない生徒だったり街でいきなり声を掛けてくる他校の生徒からそんなことを言われても
私の何を知ってるの?と
気持ち悪いだけが先に立って
断る以外の選択がなかった
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