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「でもね、それは私も同じだったんだよ。私みたいな30歳手前の5歳も年上の女が、本気で好きって言ったら、困るだろうなって、そう思ってた。このまま、せめて教習が終わるまでは一緒にいられたらって思ってたの」
「そっか。なんか、バカみたいだ、俺たち」
海人が笑った。
「そうね」
私も笑った。
「ねえ、どうして私を助けに来られたの?」
「母さんの火葬が終わって、教習所に顔を出したら、涼子さんがあいつの車に乗ってるってわかって。前にも女の子が何人か触られたって言ってたから、もしかしてって思ってさ。教習所の車はどこにあるかわかるようになってるから、それで」
「そうだったの。ありがとう、来てくれて」
「涼子さんが困ってたら、必ず、いつでもどこでも飛んでくって前にも言ったでしょ」
「海人くんが、来てくれて、本当にうれしかった」
私は素直に言った。
私達は手を繋いで、歩き出した。
とても幸せな気持ちだった。
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