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学生フリーランスってなんぞ?
牛丼を待つ間、バイトについて、適当に検索をかける。
ちらりと、学生フリーランスという言葉が視界を掠めていった。
求人をあさっていく。
飲食、パチンコ、飲食、派遣……。
求めているような求人は、そうそう見付からない。拘束時間が長かったり、週五勤務が条件だったり。バイトで検索をかけているのに、社員募集の情報がかかったりもする。
まぁ、分かっていたことではある。今まで何度も繰り返してきたことだ。そもそも虫が良すぎる条件であるため、仕方がないと言えば仕方がない。
どう調べても、行き詰まる。
牛丼が来た。
スマホを置き、箸を手に取る。
やっぱり今のままのアプローチだと、自分の思った形ではお金を稼ぐことができないらしい。さて、どうしようか。
牛丼を掻き込む。
ちょくちょく牛丼に口をつけながら「学生フリーランス」という単語で検索し直す。
……お金を稼ぐには、思ったよりもいろんな手段があるらしい。
学生のうちにフリーランスとしてライターやデザイナー、イラストレーター、エンジニアをして、適当なところから仕事をもぎ取ってくるようだ。
もちろん言うほど簡単なことではないだろうけれど。
責任も重たいし、簡単にできることではないと思うけれど。
これほど僕の条件に合った仕事も、そんなにないに違いない。
いつの間にか牛丼の器は空になっていて。
自分にできるのかは分からない。マトモに収入が確保できるのかも分からない。
それでも今なにもしないのは、あり得ない。
彼女の顔が脳裏に浮かぶ。
オレにできることはいくらでもしよう。
レシートを持って、会計に向かう。
失敗したらまぁそのとき。変にソフトや設備が必要じゃない業種を選べばそうそう赤字になることはないだろう、と無理矢理軽く物事を考え、手をつけるべきことを考える。
店を出たら、もう雨は止んでいた。
晴れ間は見えないけれど、なんとなくすべてが上手くいく気がした。
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