恋慕

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実家に帰ってきた時は何故会社を辞めたのかしつこく聞かれたが、金を渡した途端態度が逆転して愛想良くなった。 親でもこうなんだから他人を動かすには金が一番効くんだと実感する。 「今まで激務だったんでしょ?しばらくゆっくりしなさい」 さっきまで俺をなじっていた親も、一発で手のひらを返した。 「ありがと」 俺は適当な笑顔を浮かべて返事をする。 ばかばかしい。 御厨さんはこんな展開を腐るほど体験して人間不信になったんだなあと改めて考える。 でも俺には関係ない。 初めの頃こそ御厨社長が好きだった。 今は色あせて見える。 もしここまで追いかけてきたらその執念に脱帽するが、1年たっても何も起きなかったので再就職先を探し始める。 心がもやもやして腑に落ちない気分だった。
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