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モクネジンの秘密
大学近くのマンションを借りた
ゆうこ は 引っ越しを終えて
毎日 近くを探索して歩いた
どこかに モクネジンがいるはずだと
バス停のベンチ スーパーの前のベンチ
近くの公園のベンチ いろいろ探した
だがモクネジンは なかなか見つからず
ゆうこ は 不安な日々を過ごしていた
新学期が始まり 新しい友だちもできた
同じ大学の冴月とも 前と同じように
爽やかに 風変わりに 付き合い出した
冴月が 待ち合わせに指定した場所は
大学と大学病院の駐車場の間にある
あまり人が通らない 細長い公園だった
その公園の 一番奥にあるベンチで
待ち合わせしよう と 彼は言った
ゆうこ は 初めて待ち合わせした日
期待と不安で ドキドキしていた
我慢できなくて 待ち合わせの時間より
1時間も早く そこへ行った
そこで モクネジンらしき 木ネジを
発見した ゆうこ は
「モクネジン?」
と トキメキながら 呼びかけた
「やあ また会えて良かった」
と モクネジンも嬉しそうに答えた
「会いたかった どんなに探したか!」
ゆうこ は モクネジンを抱きしめた
「おい 何してるんだ?」
冴月がそう言って 向こうから歩いて来る
「何でもない ふふふっ」
「相変わらず 変な ゆうこ」
ゆうこ は 冴月と手をつないで
仲良く 夕暮れの街へ歩き出した
冴月には ずっと内緒にしとこう
モクネジン のこと と思いながら
(^^)(^^)(^^)(^^)(^^)(^^)(^^)(^^)
冴月が 高校の近くの公園のベンチから
木ネジ型の
高性能マイク&スピーカー付きカメラを
取り外したのは 4月の初め
ゆうこが 大学近くのマンションに
引っ越しを終えてからだった
新しいベンチを探して 設置したのは
つい昨日の夜中のこと
本当は もう やめようと思ってたのに
ゆうこ に せがまれたので
とりあえず もう少し頑張ることにした
モクネジンは スマホと繋がっている
本人を目の前にして 言えない言葉
一人で 抱え込み 堪えている気持ち
モクネジンにしか 打ち明けられない
微妙な事情があるらしい
純で おっとりした ゆうこ だけど
いつか 気づいてくれるだろう
モクネジン と 冴月 の 優しさに
モクネジン は 冴月 だということに
完
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