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一話 氷の国の王様
氷花は氷のせいれいの女の子です。
妹のつららとお父さんとお母さんの四人でせいれいの国で暮らしています。
せいれいの国には王様がいましたが。お妃さまはまだおられませんでした。
王様は信用できる家来のせいれい達とともに国を治めていますが。それでもお妃さまがいたらとまわりの者たちは思っていました。
「……王様はとてもうたぐり深いお方だ。お妃さまがおられたらもっと穏やかになられるだろうが」
「確かに。そういえば、お日様に会いたいがために山の守り神に頼み込んでおくすりをもらった娘がいるとか」
王様のいるお城でそう話しているのは家来もとい、重臣(じゅうしん)といえるふたりでした。ひとりは名前をあさぎといい、もうひとりはもえぎといいました。あさぎは真面目でせいじつな性格です。もえぎも穏やかで冷静な性格といえました。
「ふうむ。お日さまに会いたいがためにお薬をもらったと。なんともどきょうのある娘だ」
「……ああ。なんでも人間に一日なれる効果があるんだと」
「そうか。だったらこの城に来てもらったらどうだ?」
あさぎが驚くともえぎが説明します。そうしてふと思いついたことをあさぎがいいました。もえぎはおどろいて目をみひらきます。
「……その娘にか?」
「ああ。もえぎ。へいかはもうごねんれいが成人をむかえておられる。お妃さまがおられてもなんら不思議ではない」
「まあ。そうだが」
もえぎはそう言いながらも考えこみました。はたして、へいかはお妃さまにその娘をと思うのでしょうか。
「……あさぎ。とりあえず、われらでその娘さんに会いにいこう。お妃さまになってもらうか決めるのはそれからでもいいと思うぞ」
「わかった。じゃあ、へいかにさっそく申しあげよう」
二人はそう決めると王様--へいかのお部屋に向かいました。
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