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二話 あさぎともえぎ
その後、へいかのお部屋に行ったあさぎともえぎですが。
へいかはたくさんある書類を片付けていました。一生懸命にハンコをおしてかくにんをして。そうしていてもまだ書類はへりません。へいかはそれでも文句を言わずにおしごとにはげんでいました。
「……へいか。ちょっとよろしいですか?」
あさぎが声をかけるとへいかはちょっと目線を上げてこちらを見ました。けど手はとめません。
「……ん。あさぎか。どうした?」
「はあ。お話をしたいのですが。休憩時間に今からできませんか?」
「え。休憩時間か。少しならいいぞ」
「ありがとうございます。じゃあ、わたしが飲みものをよういしますね」
「……頼む」
へいかの言葉にあさぎはうなずきました。もえぎは立ったままでへいかが書類を片付けるのを見ながら待ちます。
少し経ってあさぎが冷たいりょくちゃを三人分持ってきました。
「へいか。もえぎ。お茶を持ってきましたよ」
「ああ。じゃあ、休憩時間にするか」
やっとへいかは書類仕事をいちじちゅうだんしてハンコと筆をおきました。
しつむようのつくえにあるイスから立ち上がると休憩用のイスに座ります。
「……あさぎともえぎも座ってくれ。立ったままもつかれるだろう」
「ありがとうございます。ではお言葉に甘えて」
「……はい」
あさぎが答えるともえぎもうなずきます。へいかの近くにあったイスに座りました。
「……で。話というのは?」
「……はい。実は。へいかもことしで20才になられました。もうそろそろお妃さまをお迎えになってはともえぎと話していまして」
「……妃だと。おれはまだいらないと思っているが」
へいかは一気にかおをしかめます。本当にいやそうです。
「そうおっしゃらずに。なのでお妃こうほのじょせいをお城に連れてきます。へいかご自身の目で判断なさりお決めになってはと思いますが。いかがでしょう」
「ふむ。妃こうほの娘をこちらに連れてくると。まあよかろう。好きにしろ」
「……ありがとうございます。では。われらは早速、したくをしてじょせいをお迎えに行きますので。失礼します」
あさぎが言うとへいかはおうようにうなずきました。もえぎと一緒にれいをして部屋を出たのでした。
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