241人が本棚に入れています
本棚に追加
さっき長谷川君に事前に教えてもらった私は、どこか落ち着いていた。けれどもどういう風の吹き回しで母は許してくれたのだろう。
「最近のあんた、楽しそうやったもんな。高校三年間の中で一番ええ顔しとるわ。それにええ友達に恵まれたやん」
私は黙って聞いていた。続きを目で促す。それを察した母は続けた。母の両眼には優しい眼差しがこもる。
「条件がある。お祖父ちゃんとお祖母ちゃんの家に、居候させてもらうんやで? お祖父ちゃんとお祖母ちゃんからも承諾済みや」
「うん!」
自分の耳を疑う。奇跡だ。喜びが自分の全身を通り抜けた。顔に嬉しさを隠しきれず、喜色満面を浮かべた。嬉しさで胸がきゅーっとする。初めて味わう喜びだった。
最初のコメントを投稿しよう!