1

15/47

1746人が本棚に入れています
本棚に追加
/73ページ
暖房の効いている店内と違って外は寒く、店の外に出た瞬間思わず身震いした。 思わず着ていたコートの前を手で合わせる。 「さむ……」 早く家に帰って熱い湯船に浸かりたい。 週末の夜ということもあり、飲食店が立ち並ぶ駅前の通りは人で賑わっていた。 人の流れに沿って駅までの道のりを歩く。 駅のコンコースに直通している歩道橋を上りかけたその時、私のすぐ後ろから 「ねぇ。」 と呼びかける声が聞こえた。 立ち止まって後ろを振り返ると、そこにはさっき店で声をかけてきた紺色のスーツの男。 「……あ。」 …どうしてここに? まさか私が上がるまで待ち伏せしていたのだろうか。 …いや、まさかね。 この人達は1時間以上前に店を出たはず。
/73ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1746人が本棚に入れています
本棚に追加