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暖房の効いている店内と違って外は寒く、店の外に出た瞬間思わず身震いした。
思わず着ていたコートの前を手で合わせる。
「さむ……」
早く家に帰って熱い湯船に浸かりたい。
週末の夜ということもあり、飲食店が立ち並ぶ駅前の通りは人で賑わっていた。
人の流れに沿って駅までの道のりを歩く。
駅のコンコースに直通している歩道橋を上りかけたその時、私のすぐ後ろから
「ねぇ。」
と呼びかける声が聞こえた。
立ち止まって後ろを振り返ると、そこにはさっき店で声をかけてきた紺色のスーツの男。
「……あ。」
…どうしてここに?
まさか私が上がるまで待ち伏せしていたのだろうか。
…いや、まさかね。
この人達は1時間以上前に店を出たはず。
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