1

18/47

1746人が本棚に入れています
本棚に追加
/73ページ
まずい。相手のペースに乗せられている。 …だけど不思議と嫌な気はしなくて。 その後もぽつりぽつりと会話は続いて、気がつくと駅の構内に入っていた。 「それじゃあ私こっちなので。」 改札を通り抜けたところで翔太に向かってぺこりと一礼をする。 「…気をつけてね、帰り。 また店に行くから。その時はよろしく。」 そう言うと、翔太は手をひらひらと振ってあっさりと階段を下りていった。 …何だったんだろう。 あれだけしつこく追いかけて来たのに別れ際のこのあっさり具合。 連絡先を聞かれることもなく拍子抜けした。 …いや、別に期待してたわけじゃないけど。 「…不思議な人。」 最初は軽そうだと思って警戒していたけど、何故か嫌悪感を抱くことはなかった。
/73ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1746人が本棚に入れています
本棚に追加