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まずい。相手のペースに乗せられている。
…だけど不思議と嫌な気はしなくて。
その後もぽつりぽつりと会話は続いて、気がつくと駅の構内に入っていた。
「それじゃあ私こっちなので。」
改札を通り抜けたところで翔太に向かってぺこりと一礼をする。
「…気をつけてね、帰り。
また店に行くから。その時はよろしく。」
そう言うと、翔太は手をひらひらと振ってあっさりと階段を下りていった。
…何だったんだろう。
あれだけしつこく追いかけて来たのに別れ際のこのあっさり具合。
連絡先を聞かれることもなく拍子抜けした。
…いや、別に期待してたわけじゃないけど。
「…不思議な人。」
最初は軽そうだと思って警戒していたけど、何故か嫌悪感を抱くことはなかった。
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