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頭がボーッとしてきてもう何もかもを放棄しそうになったその時だった。 「…和田?」 ……え? 名前を呼ばれて顔を上げるとそこに立っていたのは ほんの数時間前まで同じフロアで仕事をしていた… …会社の上司だった。 「……黒原…主任?」 大きな黒い傘をさして目の前に現れたのは、私と同じ部に勤める黒原主任。 隣の課の主任で、周囲から次期課長と囁かられているほど仕事ができる人なのだが… とにかく厳しい。冷たい。 …そして怖い。 見てくれはそう悪くない…いや、むしろ良いくらいなんだけど。 新人の女子社員にも容赦なく、「鬼の黒原」と呼ばれ恐れられているのだ。 その主任がなぜここに…?
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