ヘソクリが消えた件

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そんなに言うのであれば、わたしよりも賢い人間に、事の顛末を話してもらいましょう。 その人は、電車で二駅の先のところに住んでいる私の友人で、ユミエといいます。夢見がちな文系頭のわたしとは違い、根っからの理系。数学を愛し、科学も愛し、生物すら愛し、物理に愛される女。計算高く、理論的な友人でありました。 ひとつの問題をあげるとすれば、彼女が熱中するものにあるのでしょう。と、いうのも、ユミエは、タイムマシンなるものに壮大な夢を描いているのでした。毎日機械いじりをして、時計を眺め、嘆息する。そんな生活を繰り返すせいで、大抵は金欠状態。わたしはよく彼女に金を貸すので、結果的にわたしにもお金がないのです。 利子のかわりに、その頭脳を貸してもらおうじゃないか。 わたしは、お気に入りのブルーのワンピースを着て、家を出ました。そして、ランチのおにぎりが入ったバッグを片手に、電車へ乗ったのです。
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