獄ノ爾:二人の『さん』

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わたしは、母以外の家族を知らない。 幾ら聞いても、が大きくなったらね、と母は言葉を濁らせた。 だけど、わたしは十分大きくなった。 義務教育を卒業する程には、大きくなった。 身長だって母よりも高くなった。 そろそろ、教えてもらっても良い年頃ではないだろうか? 家族のこと。 父親のこと。 わたし自身のこと。 どうしてわたし達には、、共にと呼ばれているのかを。
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