65人が本棚に入れています
本棚に追加
獄ノ惨:禁断の部屋
小屋の間取りは簡素で特殊だった。
玄関の鍵は外からしか施錠できない造りだった。
窓はあったが、頑丈な格子が嵌め込まれ、外には出られない。
つまり、わたし達は自分の意志で逃げ出せない。
今までは通学と言う大義名分で外出を許可されていただけだ。
学校帰りに逃げ出すことなんて考えもしなかった。
わたしは外の世界など知らない程子供であり、
また、母は人質同然だったのだ。
小屋の造りは、豪雪地帯特有の高床式。
雪に埋もれない代わりに、床下からの冷気が半端ない。
冷暖房としてエアコンが付いているが、冬は室外機が凍る。
一時間暖房運転し、二時間霜取でストップする。
それの繰り返しは、単調で楽しみなど一つもないわたしの生活に似ていた。
最初のコメントを投稿しよう!