獄ノ逸:バケモノと呼ばれて

2/4
64人が本棚に入れています
本棚に追加
/72ページ
わたしは十五歳になり、義務教育が終わった。 わたし以外の同級生は、全員高校へ進学するそうだ。 この国では、高等学校までが実質的な義務教育なのだろう。 憲法により、国民には三大義務が課せられている。 教育の義務。 勤労の義務。 そして、納税の義務。 わたしにとって、中学校の卒業は国に見捨てられることと同義だ。 一般社会との隔絶を意味していたから。 残るは、勤労と納税の義務。 わたしを雇ってくれる人間は誰も居なかった。 母が納税しているのかは、聞いたことがない。 (もっと)も、周囲の人間達はわたし達親子を国民として認めていない。
/72ページ

最初のコメントを投稿しよう!