獄ノ逸:バケモノと呼ばれて

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町役場の奥から、ひそひそと非難の言葉がエコーの様に耳に届く。 (けが)らわしいが。 無駄な知恵をつけやがって。 学校に通わせるべきではなかった。 だから戸籍を与えることに反対したんだ。 今からでも遅くない、国民の権利を剥奪すべきだ。 あぁ、耳が腐る。 人間の皮を被ったバケモノ達め。 その皮、わたし達にも頂戴よ。 結局、わたしは惨めな気持ちで家に、いやに、帰るしかなかったのだ。
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