獄ノ獣:桑原家の蔵闇《くらやみ》

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その晩、僕は一睡も出来なかった。 辞書やインターネットを駆使して、古文書の解読に精を出した。 おぞましい、旧桑原村の因習。 闇の深さに呑み込まれそうになった。 父さんもこのことを知ったのだろうか? だから、になったのではないだろうか? 既に夜が明けていた。 僕は他の家族に見つからない様に、古文書を再びリュックに仕舞うと、父さんの寝室へ向かった。 父さんと母さんの寝室は別々だ。 古い母屋の廊下は、床鳴りがする。 まだ早朝の時間帯。 僕は祖父ちゃんや母さんに気づかれない様に慎重に忍び歩いた。 父さんに聞きたいこと――。 この古文書の存在を知っているのか? との関係は? そして、ではないのか? ということ――。
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