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ここまで聞いて、わたしは堪らず話を割った。
理解してくれる人が他にも居たんだ。
「皮膚病だというのは、母からきいたわ。教えてくれたのは、総一郎のお父さんだったのね」
母は、好きだったのね、きっと。
だから、総一郎のお父さんのことを尋ねた時、悲しい顔をしたんだわ。
「……あの男の息子とは想えないわ」
「うん。でも、僕にも父さんにも、あの人と同じ血が流れているんだ。
最初のさんに酷いことをした先祖の血が、呪いの様に流れているんだ」
やがて、歴代当主は、妄想に苛まれる様になった。
さんが出ていくと、桑原家は滅びる――と。
その呪縛が、令和の今の世まで続いているんだ。
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