獄ノ爾:二人の『さん』

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だけど、わたしが憎悪の矛先を向ける前に、わたしをいじめた同級生は学校を去った。 学校に来なくなったと想ったら、朝の会で突然の転校を告げられた。 お別れの挨拶もなく。 一学年に一学級しかない、田舎の小さな小学校だった。 だから、同級生にいじめられたことは、総一郎も見ていたのだ。 そして、総一郎は確かにこう言った。 「をいじめたことを父に言うぞ」 と。それは突然の転校の前日だった。 そんなこともあり、わたしを表立って――総一郎や先生の前で――いじめる生徒はいなくなった。
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