第12話……番の印をつけるまで

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定期的に周期外来へ足を運んでいる。 最初の診断結果に差程変化はなく、予定通りあと二週間で発情期がやってくる。 この数ヶ月の間に、俺たちは新居に越した。 まず悠斗(はると)くんが見てほしいと言っていたマンションと戸建の物件。マンションが3件、戸建は2件と選択肢は五つもあり、いずれも立地や間取りに申し分ない物件だったから、かなり迷った。 しかも聞けば、全て悠斗(はると)くんの所有する物件だそうで、住まない物件は今後不動産会社に委託して賃貸に出すそう。 両親は健在だそうだけど、この不動産は親から引き継いだ訳でもないそうで、25や26の若さで複数の不動産を所有してるって、悠斗(はると)くん何者?! 謎すぎるけど、やっぱり教えてくれないのか、困ったような笑い顔で(かわ)されちゃった。 有名企業のホクトグループの企画課勤務ってだけでも凄いステータスだけど、悠斗(はると)くんにはまだ、俺の知らないすんごい部分があるんだろうか? 戸建は庭に憧れたものの、コンシェルジュや直通エレベーター、階下には住民用にフィットネスやスーパー、コンビニなどがあり便利が詰まったマンションがとても魅力的に思えて、マンションの一つに決めた。 しかもそのマンションの数ブロック先は、悠斗(はると)くんの勤務先!むっちゃ近い! 俺の勤務先からは少し遠いが、通えない訳じゃない。それにまだ育児休業中だし。 たまにかなり仕事が遅くなる悠斗(はると)くんだから、通勤には時間をかけて欲しくないからね。 …………………………………… 今俺の悩みは龍の事。 発情期間中の俺の状態にも寄るが、発情が酷ければ育児が(おろそ)かになるし、誰かに預けなくてはならない。 独身時代の俺だったら、全然大丈夫なくらいだったけどな。 発情期三日というけど、一日に数回、前と後ろを追い立てて達してしまえば終了。 抑制剤もよく効くので、発情期というにはホント軽すぎ。 だが今回は番の契約をするしな。 悠斗(はると)くんは、ホクトグループの24時間営業の保育所に龍を預けようかと言ってくれた。 確かに俺の勤める会社も保育所あったしな。 まだまだ目の離せないやんちゃな時期。 発情にかまけて目を離した隙に何かあっては遅い。 預けるとして、龍は愚図らず居てくれるだろうか。それが心配。 という事で、今日から龍のお試し保育が始まった。 悠斗(はると)くんが出勤する時に連れて行ったから、今朝からこの広いマンションで俺独り。 大丈夫かなぁ、龍。 てより、俺が寂しい。
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