第12話……番の印をつけるまで

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きゃっきゃと笑いながら、ペチペチと顔を叩かれる。 龍はご機嫌らしい。 時刻は16:31 30分程前から、身体が熱く滾り出している。 はぁ……。吐息も熱く感じる。 これ、絶対発情期始まるよね。 もう始まってるか。 予定がズレる事なんて今までなかったけど、今回は出産後の初めての発情期だし、一日くらいズレるのは、誤差の範囲かな。 リビングの……毛足が長くて広いラグマットの上で、龍とゴロゴロしていると、 ピー がたん! ガチャガチャ ごっつっ 「イタ!」 バタバタバタバタバタバタ! ん。 これ、玄関解錠して慌てて入ってきて、どこかぶつけながらリビングに向かって走ってきてる音。 悠斗(はると)くんかなー。 むふふ~。 はるとく~ん。 そう心の中で呼びかける。 カチャ。 リビングのドアが()く。 リビングのラグマットの上でトロトロになってる俺を、機嫌良くベシベシ叩く龍。 そんな光景を目にした、息の荒い悠斗(はると)くんは……ふぅと息をついて少しだけ落ち着くと、静かに頬を赤らめて……。 じぃ………………。 またまたねっっっとりとした視線で、俺に目を合わせてきた。 リビングのドアを開けたまま、固まった悠斗(はると)くん。 俺の思考回路は既に機能を低下させていた。 悠斗(はると)くんは……。 スマホを操作して耳に当てると。 「すまないが上まで上がってきてくれ。龍を頼みたい。ああ、無事だ。……わかった、頼む。」 こんな会話をしていた。 だれだろー。 「龍、おいで。」 愛息子を抱き玄関に向かう悠斗(はると)くん。 玄関の隅に置いといた、龍のお泊まりセット。 持ったかな。 リーンゴーン……。 だれかきた。 はるとくんとだれか、げんかんではなしてるみたい。 バタン。 カチャ。 バタバタバタバタバタバタ! カチャ……。 玄関の鍵閉めて廊下走って戻ってきたな。 再びリビングのドアが()く。 いつも冷静沈着なクセに今日は廊下走りまくりだよ。笑える。 「はるとく~ん。」 「優一さん。遅くなりました。」 「はるとく~ん。だぁいすきぃ。」 「……寝室、行きましょう。」 なんか心做しか前屈みになってない?笑 ゴロゴロと転がってる俺を優しく抱き上げると、ベッドへ連れて行く悠斗(はると)くん。 これから先。 自分が自分でないような。 頭の片隅に、ドライブレコーダーのように記憶を留めてはいるが、俺の身体は本能のままに悠斗(はると)くんを求めて、性を開放した。
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