第13話……番の印をつけたなら

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番の印をつけたなら(2) 龍には申し訳ない事をしたと思う。 こういう時に預ける親族とかが居ないのはキツイな。 うちの両親は海外だし。 悠斗(はると)くんちは……どうなんだろ。 未だ、悠斗(はると)くんの家族とは接点はない。 発情期明けで、歩くのも覚束無い足取りだったが、悠斗(はると)くんに連れてって貰い、龍を迎えに行った。 龍は大人しく担当の先生と食事中だった。 後ろ姿の龍に、少し小さな声で 「りゅう!」 と呼ぶと、キョロキョロと見渡したあと俺に気づいた。 「うぶぅ~まんまぁ~!」 文字にしたらこんな感じ。 ママと認識してるのか?それとも龍のおっぱいだったから、ごはん(マンマ)と思われているのか? 何言ってるか分からない。笑 先生に手を添えられつつ、小さなイスに座ってたんだけど、テーブルに手をついて、おもむろに立ち上がったよ! うわ!知らない間につかまり立ち! 成長を見せる我が子に涙出そうだ。 悠斗(はると)くんと見つめ合って、つかまり立ちを二人で喜んだ。 今回は番になる為に抑制剤を使用せず、ヒートを起こしたが、番になった事だし抑制剤も併用しつつ、これからの発情期が落ち着く事を祈るばかりだ。 。oOo。.:♥:.。oOo。.:♥:.。oOo。.:♥:.。oOo。.:♥:. 龍が一歳の誕生日を迎える頃。 俺の育休も明け、職場復帰した。 最初の一週間はなかなかにハードだったけど、何とか営業職の勘も取り戻した。 龍も引き続き、悠斗(はると)くんの会社の託児所に預ける事になって、送迎は主に悠斗(はると)くんがやってくれている。たまに俺が迎えに行くけどね。 今はまだ託児所だけど、近くの広い土地に移転予定で、それを機に社外からも園児を受け入れを始めるらしい。正式に認可を受けた保育園になるようだ。 少し都会過ぎる場所ではあるが、利便性はいいし、いい場所に住まわせてもらってると思う。 気持ちの良い、緑豊富な公園もある。 買い物にも事欠かないし、近くに評判の良い総合病院もある。こちらにもオメガ専門外来もあるし、申し分ない。本当なら龍を出産した病院をかかりつけにしたかったが、近くにこんな総合病院があるならわざわざ遠い所をかかりつけにするよりはいいかもしれない。定期的に抑制剤の処方が必要だしね。 もう少ししたら龍の学校関係で、頭を悩ませなくてはいけないかもしれないが、ここはかなり住み心地がいい。
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